浮き浮き気分 ユクレー屋でユーナを相手にして酒を飲んでいると楽しい。楽しすぎて椅子に尻がつかない。笑いすぎて、時々頭を天井にぶつけてしまう。 「ねー、飲んでいる時くらい座ったら?」 「俺の体は元々重力を感じないようにできている。重力ってものがある、と意識していないと地に足がつかないんだ。楽しい気分になると重力を忘れてしまって、自然に体が浮いてしまうのさ。ユーナだって幸せな時は体が軽いだろ?浮き浮き気分になるだろ?俺の場合は気分だけじゃなく、物理的にも軽くなってしまうのさ。」 「んじゃ、ケダマンはいつも、雲の上を歩いているような気分ってことなの?」 「ということだな。まあ、実際にも、雲に紛れてプカプカ浮いているしな。」と笑って答え、そして、ちょっと真顔になって続ける。 「人間はたぶん、不幸を背負っているから地球にへばりついているのかもしれないぜ。」 ――帰ってきて2週間目の夜、ユーナとの会話―― |
語り:ケダマン 2006.5.12 次のケダマン 前のケダマン 最初のケダマン ユクレー島 |