ホウライツユクサ |
蓬莱山は不老不死の地とされ、そこには仙人が住んでいる、というのは中国の伝説。その蓬莱と名のつく植物が職場の庭にあり、梅雨の最中ずっと花を咲かせていた。花は小さく、ポツンポツンと奥ゆかしく咲いている。いかにも仙人の山にふさわしい清楚さ。 そのホウライツユクサの花を見ながら、仙人を連想し、ふと友人のSの顔が思い浮かんだ。Sは整体師、腕は確かで、私も何度か世話になっている。彼はまた、宗教からあの世のこと、超能力などの不思議世界についてもよく知っている。不思議世界は大好きだが、科学も大好きな現実主義者でもある私から見れば、「まさかそんな」と思うようなことも話してくれる。「仙人は霞を食って生きている。霞(かすみ)とは気の一種である。霊体のエネルギーのようなもんだ。」などと真面目に話す男はまた、気功の修行を毎日続けているという努力家である。彼ならそのうち仙人になれるかもしれないと思った。 そのSから「パソコン買って、インターネットの契約も済んだ。ネットの接続をやってくれ。」との依頼があった。パソコンの初期設定については、別の友人であるKがやってくれたとのこと。ネット接続だけなら30分程度の仕事、2週間前の土曜日、出掛ける。 パソコン買うからにはある程度勉強はしているだろうと思ったが、彼はど素人のくせに、ほとんど勉強をしていなかった。よって、ネットの接続設定をし、メールのアドレスの登録などをする、・・・だけでは済まなかった。電源の入れ方、切り方、メールやインターネットの開き方から文字の打ち方まで教えなければならなかった。30分の予定は大幅に伸びて、ひと通り教えるのに結局4時間以上もかかってしまった。 「何も解らずにいったい、パソコンで何をしようというのだ。」と訊くと、 「ネットで株をやるんだ。儲かるぜ。」と答える。「儲けて御殿でも建てるつもりかい!将来は霞を食って生きるのではないのかい!」と私は心で思いつつ、家路に着く。畑仕事はまたもや延期となってしまった。草ボーボーの畑を見ながら、ため息が出た。 ホウライツユクサ(蓬莱露草):野草 ツユクサ科の一年生草本 方言名:ナンドゥルー やや湿り気のある半陰地でよく見られる。畑や道端などにも普通にある。朝露を帯びて花を咲かしている様から露草という名前がついたらしい。梅雨頃から夏にかけて開花。花は染料に用いられ、若葉は食用になり、利尿剤として薬用にも用いられるとある。 花は丸っこくて淡い紅紫色。 シマツユクサ(島露草):野草 ツユクサ科の一年生草本 方言名:ナンドゥルー やや湿り気のある半陰地でよく見られる・・・以下はホウライと同じ。 花は青色で少し尖った形。 |
記:島乃ガジ丸 2005.7.11 ガジ丸ホーム 沖縄の草木 |
参考文献 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行 |