ツルボ
 このHPを始めて、もうすぐ満五年になる。その間、草木や動物の写真を撮りながら公園を散策することを数十回やっている。最初の頃は気付かなかったが、去年、一昨年辺りからは、「この花、この時期、去年も咲いていたな。」と判るものがでてくる。
 春のナワシロイチゴ、初夏のトウバナ、そして、秋のツルボなど、これらはこれまでに何度もお目にかかっている。どこにあるのかもはっきり分かっている。

 十年後くらい、私は爺さんになっている。その頃になると、季節の花の知識が、知識としてしっかり身に付いているに違いない。暑さ寒さの気候を表現するのに適している二十四節気(今勉強中)もしっかりと把握できているに違いない。
 十年後くらい、秋風が吹き始める頃、どこかの公園の一角で、痩せ型で、体の割には手足の大きい、ジーパン姿の爺さんが佇んでいる。爺さんの足元には、つつましく咲いている花がある。どこにでもある野草、ツルボだ。その爺さんがもし、
 「あー、重陽の節となったか。」などと呟いたなら、それはたぶん私です。

 ツルボ(蔓穂);野草
 ユリ科の多年草 北海道〜南西諸島、台湾、他に分布 方言名:ガラサーウム
 『名前といわれ野の草花図鑑』に「細い蔓状の花茎をのばし、その先に花を穂状につけることから」と名前の由来があった。別名をサンダイガサ(参内傘)といい、これは「貴婦人が宮中の参内の時に使った、柄の長い傘をたたんだ時の形に花序が似ているから」とのこと。方言名のガラサーウムはカラスの芋、地中に小さな鱗茎がある。
 ニラのような細長い葉を地際から叢生する。葉の間から長さ20〜40センチの花茎を上方に出し、その先に淡紅紫色の小花を穂状につける。開花期、『名前といわれ野の草花図鑑』に8月から9月とあったが、沖縄では9月から11月。
 全国に分布し、野原や道端に自生する。

 花
 記:島乃ガジ丸 2009.8.7  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
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