ツノクサネム
 今日は節分。節分とは「季節の移り変る時、すなわち立春・立夏・立秋・立冬の前日の称」(広辞苑)であり、明日から春ですよ、明日から夏ですよといった風に季節を分けるという意味を持つようで、年に4回あるらしい。であるが、節分といえばたいていは2月3日であり、豆まきであり、「鬼は外」の行事を思い浮かべる。
 鬼にはいくつかの意味があるが、2月3日に豆を投げつけられる鬼は、精神的には「天つ神に対して、地上などの悪神。邪神」(広辞苑)なのであろうが、映像的には「人身に、牛の角や虎の牙を持ち、裸で虎の皮のふんどしをしめた形」(広辞苑)となる。
 「牛の角や虎の牙を持ち、裸で虎の皮のふんどし」だと、今は、高木ブーの雷様を思い出してしまい、笑ってしまう。怖さなど少しも無い。雷様って確か神様だったと思うが、あれは鬼であったのか、邪神であったのかなどと疑問もあるが、兎に角(こう書いて、とにかくと読む。おそらくただの当て字。兎に角が生えたらどーのこーのといった意味は無いと思う)、高木ブーは怖くないし、その角もちっとも怖くない。

 ツノクサネムの角も、ちっとも怖くない。ツノクサネムの角は、種の入った莢のことを指している。角のような形をしているので、その名がついたらしい。が、その先に触れてケガをしたという人の話を、私は聞いたことが無い。優しい角なのである。

 ツノクサネム(角草合歓):野草
 マメ科の多年生草本 インド原産 方言名:デンセイ
 ネムノキとは同じマメ科ではあるが別属。でも、見た目が似ているらしいのでネムと名がつく。ネムノキが木本性であることに対し、本種が草本性だからということでクサが付き、さらに、莢が角のような形をしていることからツノと付いて、ツノクサネムとなる。
 茎が直立して高さ3mほどにまで伸び、見た目では木本かと思うのだが、分類としては草本になっている。見た目が似ているギンネムは木本に分類されている。両者の違い、見る人が見ればちゃんと判るのだろう。ちなみに、ギンネムもネムノキとは別属。
 夏から秋にかけて黄色の花が咲き、野原にあって、わりと目立つ。初め、センナの仲間かと思ったが、センナ類とは属が違う。葉は飼料や緑肥に用いられる。
 記:島乃ガジ丸 2006.2.3  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
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