ツメクサ
 去年(2011年)、近くの公園から1株失敬してシロツメクサを私の、宜野湾の小さな畑に植えた。今その1株は直径1mくらいに広がっている。
 ツメクサというとそのシロツメクサがすぐに私は思い浮かぶのだが、「シロツメクサの別称」と広辞苑にもあった。もう一つ、ツメクサというとホウセンカもまた思い出す。沖縄の童歌『てぃんさぐぬ花』、教訓歌みたいで好きでは無いのだが、子供の頃から何度も聴いているので覚えている。「てぃんさぐぬ花やチミ(爪)先にス(染)みてぃ」と歌い出す。ホウセンカの事を沖縄語でティンサグと言い、「てぃんさぐの花は爪に染めて、親のユしグトゥ(寄せ事:教訓といった意)はチム(心)にスミリ(染めよ)」といった内容。素直に「はい、分かりました」と思う子供がいるのだろうか?

 広辞苑にも「花で爪を染めたので爪紅(つまべに・つまくれない)ともいう」とあったので、ホウセンカの花を爪に染めるのは沖縄に限った事では無いようだ。ということで、ツメクサに爪草と漢字を充てたなら「ホウセンカの別称」となりそうだ。しかし違った。爪草と書くツメクサは別にあった。それはナデシコ科の一・二年草。ホウセンカはツリフネソウ科の一年草。ちなみに、シロツメクサはマメ科の多年草。

 ツメクサ(爪草):野草
 ナデシコ科の一・二年草 日本全国に分布 方言名:不詳
 名前の由来が『沖縄植物野外観察図鑑』にあり、「葉の形が鳥の爪に似ているから」とのこと。そう言われれば「そうですか」と納得できないことも無い。鳥の爪をマジマジと見たことは無いのだが。ちなみに同じツメクサでも詰草と書くと別種となる。詰草はシロツメクサの別称で、「梱包の詰物として用いたので」(広辞苑)とのこと。
 草丈は5〜15センチ程度と小さな草、茎は根元から叢生するが、そう広がらない。葉も線形で細く、花も小さく、全体に慎ましい感じがする。路傍や野原で普通に生えているらしいが、慎ましいのであまり目立たない。私の畑に生えていて気付いた。
 葉脇から花柄を出し白色の小さな花をつける。開花期について、広辞苑には春から秋とあったが、文献の写真も私の写真も2月、ということで沖縄では冬としておく。
 学名は、Sagina japonica
 記:島乃ガジ丸 2012.8.9  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
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