ツボクサ
 テーゲーとはウチナーグチ(沖縄口)で、漢字にすると大概となる。大概を広辞苑で引くと第一義に「おおよそ。おおかた」とある。沖縄のテーゲーのニュアンスは「いいかげん、ほどほど、だいたい」で、同意で鹿児島は「テゲテゲ」と言うらしい。
 沖縄人はテーゲー気質の人が多い。時間にもルーズである。今は少なくなったが、私が若い頃までは結婚式が30分遅れなんてのが普通にあった。南の島はのんびりしているので、物事に厳しくしない、ならない、ということなのだと思う。
 正統派ウチナーンチュの私はもちろん、テーゲー気質を持っている。沖縄の動植物を紹介するからには、正しく紹介しようと心掛けてはいるが、それでも、撮った写真と図鑑の写真がだいたい似ていれば、「これはそれだ」と判断してしまうことが時々ある。

 ツボクサは、最初に見つけ写真を撮ったのは2007年の5月。であるが、今回ツボクサを紹介しようと思って、改めて撮った写真を図鑑で確認してみた。すると、それはツボクサではなかった。ツボクサに似てはいるが、どの図鑑にも載っていない何者か不明のもの。たぶん、観賞用の何かの園芸品種だと思われる。
 ツボクサはしかし、よく見かける。宜野湾の、ナツヤと名付けている私の畑に何年も前から蔓延っている。で、急いで写真を撮りに行った。

 ツボクサ(壺草):野草
 セリ科の多年草 関東以西〜南西諸島に分布 方言名:カガングヮーグサ
 名前の由来は『沖縄植物野外観察図鑑』に「この草が庭や道端に生えるので名づけられたとされてます」とある。壺を広辞苑で引くと「中庭」という意があるので、「道端」を外して「中庭によく生えているので」ということだと思われる。実際には庭だけでなく道端や野原にも生えている。方言名のカガングヮーグサはおそらく「鏡小草」で、「小さな鏡のような草」という意。葉の形を手鏡に喩えたものと思われる。
 茎は細い紐状で、地上を這いながら分枝し、節から根を出して地面を覆うようにして広がる。庭の一角が一面ツボクサで覆われる景色になることもある。花は暗紫色、小さくて目立たない。葉には4〜10センチの長い柄がついている。
 チドメグサに似ているが、『琉球弧野山の花』に「葉柄の基部は鞘状になり、托葉が無いことでチドメグサ類と区別できる」とあった。高血圧に効く薬用になる。

 ツボクサとアオイゴケ
 記:島乃ガジ丸 2013.12.15  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
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