トウツルモドキ
 イネ科の野草はこれまでにいくつも紹介している。ススキ、チガヤ、ハイキビ、ジュズダマ、オヒシバ、メヒシバ、エノコログサなどなど。それらは、違いの判らない男である私でも判るほどの特徴を持っているか、あるいは、近くにたくさん生えていて、何度もその姿を見ていて記憶にある。よって、それらは今でも何者か判別できる。
 ところが、イネ科の野草、私の身近にもっとたくさんある。「これは私が認識できるものと異なるイネ科だ」と思われるものが、または「これはこの間見たものとは違うイネ科の野草だな」と判断できるものが、これまでに数多くあり、写真も撮ってある。
 写真を撮ってあるのに判別できない。何故か?・・・イネ科の野草は見た目が似ているものが多いからだ。で、もう2年位前に、「イネ科の野草は紹介しなくてもいいんじゃないか」と、写真のイネ科植物が何者であるかを調べるのも諦めていたのであった。

 ところが今年(2012年)春、訪れた知念岬で見つけたイネ科と思われる野草は大きな特徴があった。花が咲いていた。背が高った。これならすぐ判ると思った。ところがどっこい、それはイネ科植物では無かった。でも、その特徴から何者か判った。

 トウツルモドキ(籐蔓擬):野草
 トウツルモドキ科の蔓性多年草 方言名:ヤマドゥー
 名前の由来は資料が無く不明。トウは藤(ふじ)では無く籐で、籐細工の籐。この2つの漢字、老眼の方には判り辛いと思うが、草冠と竹冠の違いがある。ヤシ科トウ連に属する植物の総称。その籐に見た目が似ているので籐擬。籐の仲間も多くは蔓性の植物なのでそのままトウモドキでもいいのだが、念のためツルを加えたのだろうか?
 一見竹の仲間と判断してしまうほど茎も葉も竹に似ている。大型の蔓性植物で、葉の先が巻き髭となっていて他の物に絡みつきながら長さ10mにまで伸びる。海岸から林縁まで広く生息しているようだが、私が見たのは海岸。
 枝先に房状の花序を出し、小さな白い花を密につける。開花期について資料は無いが、文献の写真と私が見た限りで、初夏から夏としておく。

 花
 記:島乃ガジ丸 2012.8.28  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
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