トウダイグサ
 うろ覚えなので、たぶん、小学校の低学年の頃だったと思う。灯台守を主人公としたテレビドラマがあった。ドラマの内容はほとんど覚えていないが、その主題歌は、確かかどうかちょっと不安があるが、記憶にある。
 おいら岬の 灯台守は
 妻と二人で 沖行く船の
 無事を祈って 灯をかざす
 灯をかざす

 「おいら岬の」の「おいら」が、岬の名前なのか、「私」という意味なのか不明。灯台守は、「灯台の番人」(広辞苑)のこと。灯台は「沿岸航行の船舶に目につきやすく建てられた塔状の構造物」(〃)のこと。

 トウダイグサは灯台草と漢字で書く。で、トウダイの由来は上記の灯台であろうと思ったのだが、トウダイグサのどこを見て灯台にしたのか不明。であったが、『身近な植物図鑑』に「灯台(昔の照明器具)に似ている」との説明があった。
 広辞苑にも、灯台の項に2つの意味があり、上記の灯台はその2番目で、一番目の意味として「油を灯してあかりとする室内照明器具」とあった。「上に油皿をのせたもの」である。時代劇に出てくるものである。イメージがはっきりと浮かぶ。
 その灯台であれば、トウダイグサの姿は灯台に似ている。

 トウダイグサ(灯台草):野草
 トウダイグサ科の一年草 本州以南、南西諸島などに分布 方言名:ミーフックヮ
 灯台は、岬の灯台では無く、「油を灯してあかりとする室内照明器具」(広辞苑)の方を指す。本種は、茎を長く伸ばし、その先に葉を叢生させている。棒の先に皿を乗せているような形である。それが灯台に似ているところからトウダイグサという名前。
 葉や茎を傷つけると白い乳液を出す。これが有毒で、目に入ると目が腫れることから方言名がある。ミーフックヮは目が腫れるという意味のウチナーグチ。ちなみに、オキナワキョウチクトウの方言名をミーフクラギと言う。オキナワキョウチクトウの樹液も毒があり、目が腫れることから「目が腫れる木」というウチナーグチとなっている。
 『沖縄教材植物図鑑』には一年草とあり、広辞苑には越年草とあった。『身近な植物図鑑』に「3月頃から見られる」とあったが、私は毎年1月頃から見ている。
 日当たりの良い野原や道端、畑でよく見かける身近な雑草。分枝が多く、概ねこんもりとした形になる。高さは50センチほどと文献にあったが、私は30センチほどのものにしかお目にかかっていない。花の色は黄緑色でごく小さい。開花期は3月から5月。

 花
 記:島乃ガジ丸 2007.5.20  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
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