トウバナ
 旅ジョーグー(上戸の沖縄読み)の私は、建設業不況が今ほど厳しくなかった2006年までは、年に2回は旅をしていた。この旅は概ね倭国への旅で、関東はもちろんだが、鉄道の旅が好きということもあって、北陸や東北、さらには中部なども名古屋空港を使わず羽田経由で行ったりした。で、だいたい3年に一回は東京へ行っていた。
 東京というと、決まって思い浮かぶ言葉がある。「問う今日」、「今日を問う」、「いったい今日の何を問うんだ?東京。」などと、冷ややかな気分で東京に降り立つ。私自身は全く、「今日を問う」なんてことをやってこなかった。「いいんじゃないの、生きていればさ、問わなくたってさ。」と、南の島の呑気者はそんな生き方であった。
 ところが、そんな呑気者も、母が死に父が死に、天涯孤独の身になって、また、体に変調があったりして、「今日を問う」時期に来たのかもしれないと思いつつある。「今日、私は楽しかったか?」などと自問する。「うーん、楽しかったかどうかって、普通に仕事して、飯食ってるだけだから、フツー。」としか、今のところ答えようがない。人生の達人のような答えが見つかるのはいったい、何十年先のことであろうか。

 トウバナ、「問う花」、「おめぇ、いったい何て言う名前の花だ?」と問う。ガジ丸HPを始めて、植物を紹介するようになって、何度も繰り返してきた問いだ。年月を経るにつれて、問いの答えはしだいに見つかりにくくなる。素人にも知られている有名どころはすぐに判明するが、そうでないものは難しい。トウバナも少々時間がかかった。

 トウバナ(塔花):野草
 シソ科の多年草 本州以南、南西諸島などに分布 方言名:不詳
 『琉球弧野山の花』に「何層にもならぶ花群を塔に見立てた」と名前の由来があった。葉脇から花茎を出し、由来の通り数段に分かれて花を輪生させる。
 高さは10〜20センチ、文献には「道端に生える」とあったが、私は南城市の道端の他、職場の庭で、末吉公園の野原で見ている。私の住む周辺では、先週紹介した野草トキワハゼに比べると、本種の方がより「普通に見られる」野草と言える。
 花は淡紅紫色、開花期について、広辞苑には夏とあり、文献の写真も6月、8月であったが、私の写真は5月6月の他、2月もある。ということで、沖縄では春から夏。

 花
 記:島乃ガジ丸 2010.10.26  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
inserted by FC2 system