トキワハゼ
 どのくらいぶりだろうか、思い出せないくらい久しぶりに末吉公園を散歩した。散歩自体、9月の慶良間の旅を除けば数ヶ月ぶりかもしれない。
 この稿を書いているのは11月1日、末吉公園を散歩したのはその前日。木曜日に台風が沖縄島近海を通り過ぎて3日経った日曜日、秋晴れの気持ちの良い日であった。
 晩秋の末吉公園、目立った花はムラサキソシンカ、サンタンカ、コバノセンナなど。チョウも活発に動いていて、アカタテハモドキ、タテハモドキ、リュウキュウアサギマダラなどは1匹ずつ、シジミチョウの類、ツマベニチョウ、ナガサキアゲハなどは多く、特に、リュウキュウミスジがとても多く、目立って乱舞していた。
 それらのチョウの写真を撮りはしたが、チョウの写真を撮ることが目的だったわけではない。目的は歩くことと、そして、トキワハゼの確認に。

 末吉公園の儀保口に小さな実験水槽があって、その傍にトキワハゼが植えられていた。名札があったのでトキワハゼと認識し、写真を撮った。ところが、文献のトキワハゼの頁には「サギゴケとよく似ているが匍匐枝を出さないので区別できる」とある。しかし、サギゴケを私は知らないので、写真のものがどちらなのか判断できない。で、末吉公園のものが、「匍匐枝を出さない」のかどうか確認しに行ったわけ。
 ところがどっこい、末吉公園の、トキワハゼと名札のあった植物は既に消滅していた。それでもどっこい、「まあ、いいか、名札を書いた人を信じよう。」と、テーゲー(いい加減)で生きているウチナーンチュは、秋空のように爽やかに思ったのであった。

 トキワハゼ(常磐爆米):野草
 ゴマノハグサ科の一年草 東アジアの温帯から熱帯地域に分布 方言名:不詳
 『名前といわれ野の草花図鑑』に「早春から秋深くまで花をつけているのでトキワ(常
盤)」とあった。常磐は「常にかわらない岩、永久不変なこと」(広辞苑)の意。その広辞苑にハゼは黄櫨と表記されてあった。ハゼノキのハゼ(黄櫨)のことだが、ハゼノキはウルシ科の落葉高木で、本種とは見た目も全然似ていない。
 『名前といわれ野の草花図鑑』には爆米とあり、爆米は「もみのついた米を水に湿して
火で炒って爆ぜたもの」で、本種の花がこれに似ているからとあった。
 根際から数本の茎を出し、高さ5~25センチくらいになる。茎の先に唇形、基部は黄色で花冠は淡紫色の花をつける。開花期は春~秋。
 文献に「庭や道端に普通に見られる」とあったが、私の周囲では「普通」には無く、末吉公園にある小さな実験水槽の傍に、実験材料としてあった。

 花
 記:島乃ガジ丸 2010.11.1  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
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