チドメグサ
 しかとは覚えていないが、季節は冬、なので、12月とか1月とか2月とかその辺り、長火鉢(銭型平次親分、といっても若い人は知らないだろうけど、その平次親分の家に置いてあるような座卓兼火鉢のようなもの)の角に脛をぶつけてこさえた傷がある。それが痣となって、未だにくっきり残っている。オジサンは回復が遅いのだ。
 私の脚には、その痣の他、蚊では無い他の虫に刺された痕も残っている。それらはしかし。特に気にならない。放っておけばそのうち痛み痒みは消える。薬なんて塗ることも無い。私の手には若い頃にこさえた切り傷の痕が三か所残っている。深い傷であった。そのうちの一つは救急病院へ駆け込まなければならないほどのものであった。
 今でも痕が残っているのは三か所だけだが、私は切り傷をよくこさえる。木工を趣味としていたし、料理はほとんど毎日やっていて、包丁を握っているし、切り傷をこさえる機会は一般のオジサンに比べて多いのだと思われる。
 切り傷をこさえて血が出ると、ティッシュでくるんで傷の無い方の手で強く握って、血を止めている。そうする時間の無い時はバンドエイドを巻いている。

 血止めの効果があるとされているチドメグサ、その存在を知ったのは数年前で、アパートの畑など、近場で何度も目にしているが、チドメグサを血止めに使った試はない。小さな切り傷の血なんぞ、放っておけば勝手に止まってくれるからだ。でも、次の機会には使ってみようと思っている。後学のためだ。浮浪者になった時の役に立つだろう。

 チドメグサ(血止め草):野草
 セリ科の多年生草本。トカラ列島よりも南に分布。方言名:チードゥミグサ
 名前の由来と思われる記述が広辞苑にある。「葉は血止めに効があるとされる」とのこと。その名の通りということになる。方言名のチードゥミグサもチドメグサのウチナーグチ(沖縄口)読み。実際に血が止まるかどうかは試したことが無く、不明。
 庭のやや湿った所、畑地、芝地などでよく見かける雑草。葉は丸く、長い葉柄がついている。花は「春から夏にかけ白色または帯紫色の微小花をつける」(広辞苑)とのことだが、私は未確認。「同属、近縁の数種がある」(同)ともあったが、これも未確認。
 細い茎が地上を這って、所々から根を出し、地面に貼りつくようにして広がる。地面に貼りつくようにして生えているので、遠目には目立たない。畑のニラを収穫する時など、その周りの地面に蔓延っているのに気付く。あちこちに根を出していて、取り除くのは厄介だが、丈が低く日光を遮らないので、私はあまり気にならない。
 記:島乃ガジ丸 2010.7.21  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
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