ソナレムグラ/オオソナレムグラ
 図鑑を開いて、頁を一枚一枚捲っていくと、そのうちソナレムグラの頁になる。ソナレムグラという名前、何度見ても「それ何グラム?」を私は連想してしまう。
 「それ何キロ?」は、畑の肥料を買う時などに使うが、「それ何グラム?」はたぶん、普段はほとんど使わない。どういう時に使うのだろうと考えても、思い浮かばない。であるが、「おお!それ何グラム?」と驚きのニュアンスが含まれると、経験は無いが、連想できることがある。「川で遊んでいたら砂金を見つけた。」と言って、手の平に盛られた砂金を見せられたら、「おお!それ何グラム?」と訊くかもしれない。

 フタバムグラの頁で、「ムグラには、その音の響きから「何かモサモサしたもの」という印象を私は持っている。」と書き、「ムグラは葎と漢字で書く。広辞苑には「八重葎など、荒れ地や野原に繁る雑草の総称」とある。」と紹介しているが、確かに、ヤエムグラなどは「モサモサ」している印象を受ける。ソナレムグラはしかし、フタバムグラと同属の野草だが、これには「モサモサ」感を私は受けなかった。花も清楚で可憐だった。

 ソナレムグラ(磯馴葎):海岸の野草
 アカネ科の多年草 関東以南、南西諸島、台湾、朝鮮に分布 方言名:不詳
 ソナレ(磯馴)が広辞苑にあった。「樹木が磯や地に傾いて生えること」とのこと。そういった樹木を磯馴木と言い、そういった松のことを磯馴松と呼ぶ。また、「ハイビャクシンの異称」ともある。ハイビャクシンは既に紹介済みだが、海岸近くに、地を這うようにして生えているので、そんな異称があるのであろう。本種もまた、海岸近くに、地を這うようにして生えている。ムグラ(葎)はフタバムグラの説明にも書いたが、「八重葎など、荒れ地や野原に繁る雑草の総称」(広辞苑)とのこと。フタバムグラと同属。
 茎の長さは10〜20センチ。海岸の岩場に見られる。『沖縄教材植物図鑑』に掲載されているが、方言名は付いていない。開花期についての記載は無いが、『沖縄植物野外活用図鑑』の写真は8月、私の写真は9月。
 学名はHedyotis strigulosa var. parvifolia
 フタバムグラはHedyotis diffusa

 花


 オオソナレムグラ(大磯馴葎):海岸の野草
 アカネ科の多年草 大東諸島固有の変種 方言名:不詳
 名前の由来、ソナレムグラについては上述の通り。オオソナレムグラのオオについて、文献に記載は無かったが、ソナレムグラの草丈は10〜20センチ、本種は20〜40センチになり、ソナレムグラより大型であることからで間違いなかろう。
 葉も本種の方が大きい。ソナレムグラは長さ10〜25ミリ、本種は30〜45ミリ、多肉質であることは同じ。根系も本種の方が太いとのこと。
 花に違いはほとんど無い。開花期について、文献に3月から12月とあったが、それには?マークが付いている。私の写真は7月、なので、少なくとも夏、としておく。
 学名はHedyotis strigulosa var. luxurians

 花
 記:島乃ガジ丸 2009.8.10  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
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