シロバナノアサガオ
 2012年9月、埼玉の友人Kと宮古諸島オヤジ二人旅に出る。その3日目、9月12日の午前中は伊良部島にいた。伊良部島へはその前日のお昼前に渡っていて、私の趣味である知らない町の散策を4時間ほどやっていた。12日は、日記によると「朝食後すぐに散策に出る。昨日回れなかった伊良部島の南側を歩く」とある。
 「朝食後すぐ」はたぶん8時過ぎ、宿からほど近くの道路沿いにアサガオらしき植物が他の樹木に絡みついて、多くの花を咲かせているのを見つけた。アサガオのような形の白い花、よーく見てもアサガオ、「アサガオに違いない」と思いつつ写真を撮る。

 旅から帰って間もなく、「アサガオに違いない」と思った植物が何者であるかが判明した。ノアサガオだった。ノアサガオは山でも里でも、特に樹木の生い茂った場所などであればどこにでも見られる雑草。ただし、その花の色は、朝方は青紫で夕方は赤紫に変わるけれど白色になることはない。ただし、その変種が『沖縄植物野外活用図鑑』に記載があって、その名もシロバナノアサガオ(白花野朝顔)とのこと。
 同書に「ノアサガオによく似ていますが、個体数ははるかに少ない」とあって、私はその時が初対面、そして以降、今日(2017年12月)までお目にかかっていない。
 
 シロバナノアサガオ(白花野朝顔):野草・蔓植物
 ヒルガオ科の多年草 紀伊半島以南、南西諸島、他に分布 方言名:ヤマカンダ
 名前の由来、アサガオについては『植物名の由来』に「もともと朝の容花(かおばな)の意であり、容花とは美しい姿の花という意味である」と説明があった。「朝の容(すがた、外見)」ということで、朝を代表する花ということになるのであろう。ノ(野)については資料がないが、おそらく「野生の」という意、シロバナは花が白色だから。
 沖縄で多く見られるノアサガオの変種で、『沖縄植物野外活用図鑑』に「ノアサガオによく似ていますが、個体数ははるかに少ない」とある通り、滅多にお目にかかれない。私は「2012年秋の宮古諸島の旅」の伊良部島で初めて見た。本種の原産分布についての資料はなかったが、ノアサガオの変種ということで、ノアサガオと同じとした。
 既に紹介済みのノアサガオの項にも書いたが、栽培されるアサガオは、ニホンアサガオとセイヨウアサガオに大別され、概ねニホンアサガオはヒルガオ科アサガオ属、セイヨウアサガオはヒルガオ科サツマイモ属となっている。本種はアサガオ属では無く、サツマイモと同じサツマイモ属。ちなみに、それぞれの学名を紹介すると、
 アサガオ Pharbitis nil Choisy
 サツマイモ Ipomoea batatas L.
 ノアサガオ Ipomoea indica Merr.
 シロバナノアサガオ Ipomoea indica Merr.f. albiflora B. Stone
 記:島乃ガジ丸 2017.12.2  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『沖縄やんばるフィールド図鑑』 湊和雄著 実業之日本社発行
 『グリーン・ライブラリー』タイムライフブックス発行
 
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