シマツユクサ
 ホウライツユクサは家の周りや、職場の庭で多く見ることができ、私にとっては身近な野草である。で、既に2005年7月に紹介済みである。
 『沖縄四季の花木』に「沖縄でツユクサといえば普通はこの種をさす」とシマツユクサが紹介されてある。同書にはホウライツユクサのページは無い。ホウライツユクサよりシマツユクサの方が普通に見られる雑草のようである。であるが、私は、それから2年が経っても、シマツユクサを見つけることができずにいた。
 今年(2007年)の8月、炎天下での肉体労働であった日の昼休み、現場近くにあった金城ダムを散策した。私は老眼であることは間違いないが、多少近眼でもある。左右の視力は共に0.5くらいである。その眼が、まだ実物を見たことが無いにもかかわらず20m手前から「あれはあれではないか」と気付いた。近付けば確かにそうであった。
 2年越しの恋が実ったような気分になる。幸せを感じた。いやいや、ちょっと待て。そんなことで幸せを感じていてはいけない。私はまだ、老境に入るには早い。

 シマツユクサ(島露草):野草
 ツユクサ科の一年生草本 方言名:ナンドゥルー
 ツユクサが広辞苑にあり、露草と字が充てられている。由来は、『沖縄植物野外活用図鑑』に「朝早く露を宿して花が開いている様子から名づけられたものと思われます」とあった。シマ(島)については『沖縄四季の花木』に、「ツユクサより花は小さい。そのことからシマ(小さいという意味)」とある。シマは沖縄産のという意味もあり、私はそれだと思っていたが、原産分布がどの文献にも無かったので、確かなことは言えない。
 やや湿り気のある半陰地でよく見られる。畑や道端などにも普通にある。「沖縄でツユクサといえば普通はこの種をさす」とあるが、私の住む近辺では見られない。
 茎は多く枝分かれして匍匐し、節から根を出して辺りに広がっていく。
 雑草扱いされているが、花は爽やかな青色をしていて、形も可愛い。3つの花弁が三方にきれいに分かれていて、花全体を見ると三角形をしている。既に紹介済みのホウライツユクサは、花弁がくっつき丸くなっている。開花期は、『沖縄四季の花木』に「三月中旬ごろから咲き始める」とあり、別の文献の写真は8月、私が見たのは8月の終わり。よって、3月中旬から夏ということにしておく。ホウライツユクサと同じく、花は染料に用いられ、若葉は食用になり、利尿剤として薬用にも用いられるとある。

 花

 ちなみに、ツユクサとシマツユクサは同属。
 ツユクサ(露草):地被・花壇
 ツユクサ科の一年草 日本全土に分布 方言名:ナンドール 
 日本全土に分布する野草。若葉は食用になる。藍色の花は6月から10月に開花。
 記:島乃ガジ丸 2007.12.10  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
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