シマキケマン |
沖縄にも寺はあるが、仏教はさほど歴史は無く、沖縄社会の中にさほど浸透もしていないと思う。倭国では普通である檀家制度というものが無い。お寺も僧侶も日常に身近では無い。寺に行くのは葬式や法事の際にお坊さんを頼む時くらいだ。 お寺やお坊さんというと私は、テレビの「一休さん」とか、お話の「良寛さん」などしか馴染みがなかった。家に仏壇はあったが、母も祖母も「仏様」に祈るのでは無く、「ウヤファーフジ(親先祖)」様に向かって何やら唱えていた。 沖縄に仏教の影響が薄いのは、1600年頃薩摩が琉球に攻め入り、琉球を支配して以後、仏教を禁止したかららしい。そのことについてはもう少し調べて、いつか述べたい。とにかく、仏教が身近で無いので、仏教用語についても私(たぶん、勉強嫌いのウチナーンチュの多くも)はあまり知らない。ケマン(華鬘)も初めて見る言葉。 ケマン(華鬘)、漢字を見ると日本髪の華やかな形のものとか、髪飾りなどといったものを連想するが、仏教用語。これがキケマン(黄華鬘)となると植物名となる。 シマキケマン(島黄華鬘):野草 ケシ科の二年草 九州南部〜沖縄、台湾などに分布 方言名:アガリンフサ(石垣) 名前の由来、先ず、ケマンは「仏前を荘厳するために、仏堂内陣の欄間などにかける装飾」(広辞苑)のことで、ケマンソウは『沖縄四季の花木』に「華鬘に花序を見立てた」とあり、キケマンは広辞苑に「黄花のケマンソウの意」とあった。そして、シマキケマンのシマ(島)については資料がないが、南西諸島の島々に産するからであろう。 高さは20〜40センチ、葉は長さ10〜20センチで2回羽状複葉。花は淡い黄色。キケマンは本種より大型で、葉は3回羽状複葉。花は濃い黄色。 葉と対生する総状花序を出し、多数の花をつける。花は淡い黄色、開花期は3〜4月。 ちなみに学名、ケマンソウは属が違う。 シマキケマン Corydalis balansae Prain キケマン Corydalis heterocarpa var. japonica ケマンソウ Dicentra spectabilis Dicentra 花 |
記:島乃ガジ丸 2013.3.18 ガジ丸ホーム 沖縄の草木 |
参考文献 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行 |