センニンソウ
 7月下旬の日曜日、灼熱の太陽がガンガン照りつけるとても暑い日、家から車で30分ほどの距離にある東風平の、とある公園へ出かけた。今年は車でもクーラーを使わないようにしているので、目的地に着いた頃には、Tシャツは汗で濡れていた。
 その公園は樹木が生い茂り、公園を一周する園路のほとんどが木陰となっていたが、道は起伏が激しく、一回り終える頃にはやはり、たっぷり汗をかいていた。
 そろそろ園路の出口だなと思われる岩場で一休みしていると、目の前に白い花が咲いているのを見つける。写真を撮って、家に帰って、調べる。センニンソウ。文明の利器クーラーを否定してたっぷり汗をかいた後に見つけた花が仙人。将来、できれば仙人になりたいと思っている私なので、自然環境に順応した肉体作りという今の生き方に何となく自信を持つ。むろん、何となくである。根拠は全く無い。
 センニンソウの学名を調べたらClematis属であった。クレマチスと読める。これは聞き覚えがある。昔、茶道を習っている時、茶花でテッセンというものがあることを知り、園芸店に出かけ、店員に話を聞いた。テッセンは、いろんな種のあるクレマチスの一種とのことであった。ツル性の雑草でよく見かけるリュウキュウボタンヅルも同属。

 センニンソウ(仙人草):野草
 キンポウゲ科の蔓性多年草 北海道南部以南、南西諸島、他に分布 方言名:不詳
 仙人草という字は広辞苑にあった。仙人という誰もが知っている名前がつくからには、それなりの由来があるのだろうと、『名前といわれ野の草花図鑑』を調べる。「果実の先に、ふわふわした羽毛のようなもの・・・これを仙人のひげに見たてて」とのこと。
 海岸近くから山地まで野原や道端に自生する。葉柄でものに巻き付いて広がる蔓草。有毒植物とのことだが、薬用にも使われると広辞苑にあった。
 葉腋から花序を出し、3センチ内外の可愛らしい白い花をつける。開花期について、広辞苑には秋、『名前といわれ野の草花図鑑』には8月から9月などとあったが、私の写真は7月。亜熱帯の沖縄では夏に咲き、温帯地方では秋近くに咲くのかもしれない。
 同属にリュウキュウボタンヅルがあるが、本種とは見た目で区別がつく。『琉球弧野山の花』によれば、本種はサキシマボタンヅルと似ているらしい。「サキシマボタンヅルの葉は乾けば黒変するので区別がつく」らしい。本種の葉は乾いても黒変しないというのだが、つまり、葉を乾かしてみないとその区別がつかないくらい似ているということのようである。『沖縄植物野外活用図鑑』に写真があった。確かにそっくり。
 ちなみに学名、
 センニンソウClematis terniflora
 サキシマボタンヅルClematis chinensis Osbek
 リュウキュウボタンヅルClematis taiwaniana var. ryukyuensis
 テッセンClematis florida

 花
 記:島乃ガジ丸 2008.9.21  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
inserted by FC2 system