センナリホオズキ
 夏の初めになると、鬼灯市(ほおずきいち)のニュースがテレビに流れる。ホオズキの実は、中の種を取り除いて吹き鳴らして遊ぶ。これもテレビドラマか何かで何度か目にしている。なので、ホオズキという名前は耳に親しい。ではあるが、私はホオズキの実を吹き鳴らして遊んだことは無く、ホオズキの鉢物が家に飾られているのを見たことも無い。
 おそらく、沖縄にホオズキは無い。時期になると花屋にホオズキの鉢物は並ぶが、これもたぶん復帰後のことで、私が子供の頃は珍しいものだったに違いない。
 ホオズキは無いが、ホオズキに似たものはあった。これもしかし、帰化植物なので、昔からあったというわけではなかろう。センナリホオズキという名の植物であるが、もし、これが昔、私が子供の頃からあったとしたら、倭国の子供がホオズキの実を鳴らして遊んだように、沖縄の子供たちもこのセンナリホオズキの実で遊んだに違いない。私が子供の頃、私の周りの友人でそういうことをやっている者はいなかった。

 センナリホオズキ(千成酸漿・千成鬼灯):野草
 ナス科の一年生草本 熱帯アメリカ原産 方言名:カートーグヮ
 実がいっぱいつくのでセンナリ(千成)とつく。文献にはセンナリホ“ウ”ズキとあったが、鬼灯を指すのであれば、ホ“オ”ズキと表記したほうが正確であろう。
 夏に薄い黄色の小花が咲いて、花が終わると、液果を包む袋ができる。袋は萼が大きくなったもの。本種の袋はホウズキ市のホウズキのように赤くはならない。が、吹き鳴らして遊ぶことはホオズキと同じ。ホオズキは同じ属だが、多年生草本。
 野原の雑草だと私は思っていて、文献にも野草と書かれてあったが、鉢物になって園芸店で売られてもいるらしい。高さは30〜80センチ。

 花
 記:島乃ガジ丸 2005.12.12  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
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