セイタカアワダチソウ
 母が病床にあるということもあって、今年は0回だが、去年まで私は概ね年に2回、旅をしている。旅は概ね春の旅と秋の旅となっている。春の旅は4月から6月の間、秋の旅はだいたい10月となっている。ちなみに、秋の旅が10月と限定されているのは、航空運賃がバースデイ割引で安くなるという理由からである。
 私の旅は概ね移動する旅である。1度の旅で3泊から4泊ほどするが、同じ場所に連泊するということは少ない。これにも理由がある。沖縄ではできない鉄道の旅がしたいからである。車窓から景色を眺めながら酒を飲むのが好きだからである。
 沖縄と本土(他府県)とでは景色がはっきり異なる。小さな島の地形と大きな島の地形の違いもあるが、植生がだいぶ違うのである。沖縄には杉林が無く、モウソウチクなど大型の竹林もほとんど無い。ケヤキも無ければソメイヨシノも無い。沖縄の景色にはヤシが立ち並び、髭を生やしたガジュマルのこんもりとした姿があり、赤や黄色といった鮮やかな花を咲かせる熱帯花木がそこここに顔を見せている。

 さて、倭国での秋の旅、車窓から眺める景色に、決まって目に入る目立つ植物がある。セイタカアワダチソウである。たくさんの黄色い花を咲かせているその植物は、倭国では普通に見られるようだが、沖縄ではほとんど見かけない。去年の11月、浦添大公園の裏手にある墓地の中をウロウロしていたら、空地の片隅にポツンとあるのを見つけた。沖縄の環境は住み辛いのか、沖縄のセイタカアワダチソウは背が低かった。

 セイタカアワダチソウ(背高泡立草):野草
 キク科の多年草 北アメリカ原産 方言名:なし
 草丈が2メートルほどにまでなる大型の雑草。その背丈からセイタカ(背高)、大きな花序に多くの花がついて泡立つように見えることからアワダチとなっている。
 私が参考文献にしている書籍のうち、沖縄の植物を紹介しているのは11種あるが、セイタカアワダチソウは1種にしか記載が無く、それにも「沖縄には少ない」とあった。その通り、私の住まいや職場の近辺では見たことが無い。たまに散歩する末吉公園や琉大キャンパスでも発見していない。写真は浦添大公園で2006年11月4日に撮影。
 茎の先に多くの黄色い花をつけ、群落となっているところでは菜の花畑の美しさに近いと私は思ったのだが、特に人の役に立つわけでは無く、勝手に生えてくるから雑草となっているようである。地下茎を伸ばして広がり、本土では大群落を見かけることも多い。開花期は10月と広辞苑にあったが、沖縄では11月に咲いていた。

 花
 倭国産
 記:島乃ガジ丸 2007.10.13  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
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