リュウキュウコスミレ
 大学時代の友人が一人、宮崎出身で、今も宮崎に実家はあるのだが、大学を卒業後沖縄に住み着いている。10年ほど経って結婚し、家を構え、そして、娘ができた。彼はその娘に「すみれ」と名前をつけた。ハーフは概ねカワイイというが、いかにもナイチャージラー(内地人面、倭人の顔という意味。目が一重の弥生人風の顔)の彼と、目鼻立ちのはっきりした沖縄人である女房との間に生まれたハーフの娘は、まことにもって「すみれ」という名がピッタリの、愛らしく、カワイイ娘であった。
 スミレというと、今ではその娘のことが先ず思い浮かぶが、以前は、スミレといって真っ先に思い浮かぶのは「スミレのはーなー、咲くころー」であった。宝塚歌劇団のテーマソングである。友人が何故、娘に「すみれ」と名前をつけたのか確認はしていないが、彼はおそらく、隠れ宝塚ファンだったのだろう。体重が当時の倍、100キロを超えた今では想像もできないが、当時の彼は詩人であり、歌唄いであり、美意識も高く、繊細な感性の持ち主であった。宝塚の美もよく理解できていたのだろう。 

 私は、宝塚歌劇団に興味は無いが、「スミレのはーなー、咲くころー」の歌は好きで、気分の良いときなどは時々口ずさんでしまう。人間関係が良好、仕事も順調、心に不安も迷いも無い、空は青空で、風はそよ風の時などにこの歌は似合う。だから、これは春の歌であろう。スミレは春の花であろう・・・と思っていたのだが。
 京都辺りでは春に咲く花なのかもしれないが、調べたら、沖縄のスミレは冬に咲く。だから、私が「スミレのはーなー、咲くころー」と唄っている時に、野原にスミレが咲いていたわけでは無い。だが、冬の花スミレ、でも、爽やかに明るく、清楚でかわいい。

 リュウキュウコスミレ(琉球小菫):野草
 スミレ科の多年生草本。トカラ列島よりも南に分布。方言名:スミリ
 低地の畑や空地に自生する。長い柄を持った細長いハート型の葉、その間から数本の茎を出し、その先に淡紅紫色から濃紫色の小さな花を一つ付ける。開花期は1月から2月。
 カワイイ花で、他の植物を圧倒するような繁殖力も無いので、雑草に分類するのは心苦しいのだが、花壇などにわざわざ植えるということは無いようである。
 シロバナリュウキュウコスミレという白っぽい花をつける種もある。
 記:島乃ガジ丸 2005.7.13  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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