ルリハコベ
 先週末、畑を覗いた。相変わらず雑草がいっぱい。ムラサキカタバミ、カタバミ、オニタラビコ、メヒシバなど。シマラッキョウを植えた辺りにはまた違う雑草が群落を成していた。これもよく見る雑草、ルリハコベ。お陰で、私の大好きな、春の酒の肴にはかかせないシマラッキョウの生育が悪い。コノヤローと思ったが、除草は写真を撮ってからにしようと放っておいた。写真は花が咲いてから撮ろうと思っているが、まだ咲かない。
 ルリハコベの出てくる沖縄のわらべ歌がある。子供をあやすときなどに歌う。

   べーべーぬ草かいが
 いったー あんまー まーかいが べーべーぬ 草かいが
 (お前の 母ちゃんは 何処へ行った 山羊の 草刈に)
 べーべーぬ まさぐさや はるぬわかみんな
 (山羊の 美味しい草は 春の若いルリハコベ)

 山羊のことをウチナーグチではヒージャーと言うが、ベーベーは幼児言葉で山羊を指す。マサグサのマサは、通常はマーサと発音し、美味しいという意味で、「ベーベーぬマサグサや」は簡単に言うと「山羊の好物の草は」ということになる。
 この歌はすごくメロディーの優しい歌で、私は大好きなのだが、残念ながら子供をあやすときに歌った経験は無い。子供の心にもその優しさが伝わると思うので、子供をあやす状況にあるお父さん、お母さんにはぜひ歌ってもらいたいと思う。
 歌の最後に「あんぐゎー そーてぃ」と囃子が入る。アングヮーはお姉ちゃん、ソーティは添えて、つまり連れてということ。「お前の母ちゃんは山羊の草刈に行ったよ。お姉ちゃんを連れてね」となる。この「あんぐゎー そーてぃ」のメロディーがまた気持ち良くて、女に振られたりして気分が落ち込んだ時には、このメロディーがよく効く。心を慰めてくれる。若い頃、自分で自分にたびたび歌って聞かせたもんだ。

 ルリハコベ(瑠璃繁縷):雑草
 サクラソウ科の一年生草本。分布は沖縄本島以南。方言名:ミンナ、ファチコーミンナ
 路傍や草地、畑地によく見られる雑草。群生し、2月頃、瑠璃色の小さな花を上向に咲かす。かわいい花だし、草自体も鬱陶しいものでは無いが、山羊のいない家庭では役に立たないので、雑草扱いとなっている。
 瑠璃色の花で、ハコベに似ているからルリハコベなんだが、ハコベとは科が違う。



 ついでに、
 はこべ(繁縷)
 ナデシコ科の越年草。山野・路傍に自生する。春、白色の小五弁花を開く。春の七草のひとつ。ハコベラとも言う。
 記:島乃ガジ丸 2005.1.28  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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