オオヒメクグ
 長いこと散歩をしていない。今年5月、埼玉の友人Kと津堅島に渡り、そこを散策して以来散歩らしい散歩をしていない。Kや東京在のI、小豆島のOが沖縄に遊びに来た時は彼らに付き合って観光地やその近辺を散策するが、日常、自分一人で近所、あるいは公園などを散策することは長いことやっていない。
 首里石嶺に住んでいる頃は、近くに首里城公園、弁が岳公園、末吉公園があり、たびたびそこらを散策していた。また、車で遠くまで足を伸ばし、那覇市の南側(首里とは反対側)、南城市、西原町、沖縄市などの公園にも出かけていた。300坪の畑を始め、実家の売買に関わる諸々の面倒事もあり、散歩する時間がなかなか取れなかったのだ。
 上述した公園の中で私がもっとも頻繁に通ったのは末吉公園、沖縄島南部の原生林が残っている所で、昆虫や鳥などもたくさん見られる所。そこで私は天然記念物のコノハチョウを見つけ、その写真も撮ることができた。散策には良い場所だ。

 末吉公園の一角に、そこに立っているととても気持ちが良いと私が感じる場所がある。気の流れがとても良いのだろうと私は勝手に解釈している。もうだいぶ前、写真の日付を見ると2008年7月19日となっているので5年以上前だ。とても気持ちの良い空気を体の中に入れながら立っていた。ふと地面を見ると白い丸い花が一面に咲いていた。初めてみる花だ、写真を撮って後日調べると、オオヒメクグであった。
 オオヒメクグに似ているものは畑にうんざりするほど生えている。除去の困難とされている雑草コウブシだ、和名ではハマスゲ。農夫仲間に「コウブシ」と言うと、「コウブシが入っているのか、厄介だなぁ」と同情されるほどの面倒な奴。それに比べてこのオオヒメクグ、見た目は似ているのに繁殖力は強くないようで、末吉公園のその一角以外で私はまだ見たことがない。でも、「根茎が地中を這い分枝して四方に広がる」という広がり方はコウブシと一緒なので油断はできない。聖地にあっても信用してはいけない。

 オオヒメクグ(大姫莎草):野草
 カヤツリグサ科の多年草 方言名:ダマクブチ(与那国方言)
 名前の由来について詳細は不明。クグ、ヒメクグともに広辞苑にある。クグは莎草と書き同じくカヤツリグサ科の多年草、ヒメクグは姫莎草と書き、クグより小さめであることからヒメ(姫)とつく。広辞苑によるとクグは高さ30〜50センチ、ヒメクグは高さ約30センチ。本種は高さ10〜40センチと『沖縄植物野外活用図鑑』にある。ヒメクグより少し大きいことからオオ(大)が付いたものと思われる。
 カヤツリグサ科のカヤツリという名は「子供が茎を裂いて蚊屋を吊る形にすることから名づける」(広辞苑)とあった。カヤツリグサという種もある。
 根茎が地中を這い、分枝して四方に広がる。日向の路傍などに生える。花茎を上に伸ばし、その先に花序を付ける。花序は球状で白色。ヒメクグの花序は緑色とのこと。

 花
 記:島乃ガジ丸 2013.12.6  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
inserted by FC2 system