オニタビラコ
 年明けから、週末天気が悪いってのがずっと続いた。3月の後半に入ってやっと晴れ、または雨の降らない週末となって、私の畑仕事も前進している。
 畑仕事は、枝豆植付けのための開墾作業。今まで畑には使っていなかったところを耕して、雑草を除き、堆肥を混入するまでの作業。この中で最も力の要るのは耕耘作業、天地返しといい、スコップで30cm以上の深さを掘り、逆さまにして地中の土を上にする。そして、最も手間のかかるのは除草作業。天地返しした土の中から雑草を除いていく。10年以上も荒地のままであったので雑草の量が多い。根ごと、種ごと取り除いていく。
 ハマスゲ(方言名コウブシ)はまだ芽を出す時期では無いが、地中の中にハマスゲの根塊が夥しくある。これが実に厄介者で、時期になると一斉に芽を出し、畑を覆い尽くす。ムラサキカタバミ(方言名ヤファタ)は種がはっきりしているので、掘り返した土から取り除くのはそう面倒では無い。しかし、種1粒放っておくとすぐに増えるので、これも厄介者である。畑にはいろいろな雑草が他にもあるが、厄介者はこの2種。

 地中の中を見るとハマスゲも多いのだが、今の時期、地表面ではムラサキカタバミと同じくらいに多い雑草がある。オニタビラコである。ムラサキカタバミ同様、しきりに花を咲かせている。量としては両者五分五分。だが、除草にかかる時間は、オニタビラコはムラサキカタバミの10分の1で済む。だから、私はオニタビラコが嫌いでは無い。
 ムラサキカタバミは地表から引き抜くことは難しい。土を掘り返してからでないと根っこごと取り除けない。が、オニタビラコは、土が柔らかいうちなら茎葉を掴んで引き抜くと根っこごと取り除くことができる。人に優しい雑草なのだ。キク科の植物で、小さいがキクに似た花をつける。かわいいとさえ言える。が、雑草。やはり邪魔者。
 先々週の土日(19、20日)に新畑の開墾作業をし、ほぼ7割を耕し終えた。そして昨日(27日)、残りの開墾作業をしようと畑に出たら、先週耕した土の上にたくさんの小さな緑の芽が出ていた。ムラサキカタバミだった。なんという厚かましさであろう。それに比べオニタビラコはきれいさっぱり消えてしまっている。慎ましい奴なのだ。

 オニタビラコ(鬼田平子):野草
 キク科の二年生草本。日本全土に分布する。方言名:トゥイヌフィサー
低地の畑などに自生する。高さ30cm前後。冬の終りから春にかけて菊に似た小型の黄色い花を咲かせる。文献によると開花期は2月から3月頃とあるが、職場の庭のオニタビラコは5月頃までは咲いている。ヤギやニワトリなどの家畜の餌として利用される。
 タビラコはロゼット(注1)の葉が田んぼに平たくはりついている様子から田平子。そのタビラコに似て大型なので鬼田平子という名であるが、タビラコは春の七草の一つのホトケノザのことでヤブタビラコ属、オニタラビコはオニタビラコ属となっている。
 方言名トゥイヌフィサーは"鳥の足"という意、花茎の形がそう見えるのだろう。

 注1、ロゼット:根生葉(こんせいよう)のこと。根生葉を広辞苑で引くと、「根から束生したように見える葉。きわめて短い茎に多数の葉が地に接して着く。タンポポの類。根出葉。ロゼット。」とある。地面に貼り付いたように見える葉っぱ。
 記:2005.3.28 島乃ガジ丸  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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