オジギソウ
 サムライ魂というと、不屈、勇気、闘志なんて言葉が思い浮かぶであろうか。剣豪宮本武蔵の場合は「戦って必ず勝つ」ということだったかもしれない。正々堂々でなくてもよいから、とにかく何がなんでも「勝つ」こと。まあ、それもサムライ魂なのであろう。
 私はしかし、時代劇を観ると、「正々堂々と戦う」といった話を好む。私にとってのサムライ魂は「恥を知る」ということになっている。卑怯を恥じる、逃げを恥じる、不正を恥じる、自堕落な生き方を恥じるなどといったこと。そういったことが恥である、ということを認識している者が武士であろう、と私は思っている。
 そんなサムライ魂を持った人は、今でも多くいるに違いない。高倉健なんて名前が真っ先に浮かぶが、名も無きサムライはきっと、その辺にもいるだろう。恥を知るオジサンや爺さんは、優しい顔をしているが、いざとなったら戦う勇気を持っていよう。

 オジギソウは、含羞草と漢字で書くが、別に知羞草という字でも表される。「羞(はじら)いを知る草」となる。羞いは恥じらいとも書き、恥ずかしがることである。
 私はむろん、男より女の方が大好きであり、男より女の方をたくさん褒めたいのであるが、しかし、最近、「はじらいを知る乙女」なるものにはとんとお目にかからない。

 オジギソウ(含羞草):野草
 マメ科の多年生草本 南アメリカ原産 方言名:イングヮグサ
 マメ科の植物の多くがそうであるように本種も羽状複葉の葉を持つ。その葉に触れると対生になった左右の小葉同士が閉じてくっついて、葉柄そのものも垂れ下がる。その垂れ下がる様から名前をオジギソウという。漢字の含羞草にある羞は、身を縮める様を表すらしいが、「はじらい」という意味もある。「恥ずかしがりやの草」なんて、ちょっと風情がある。他に、知羞草という字も充てられる。また、ネムリグサという別名もある。
 『沖縄植物野外活用図鑑』にそうあったので、多年生草本と書いたが、見た目は木本性に見える。広辞苑には「小低木で、園芸上は一年草」とあった。
 茎には鋭い棘がある。夏(沖縄は秋まで)に葉の脇から花茎を出し、淡紅色の小さな花が多く集まって球状につく。丸いブラシみたいに見える。
 記:島乃ガジ丸 2006.1.17  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
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