ミツバコマツナギ
 ガジ丸HPを立ち上げて沖縄の植物を紹介するようになって長い、2004年9月からだから13年余になる。それだけやっていると、ミツバコマツナギという名前を見て、ミツバが三つ葉の意であることが無意識に頭に入ってくる。さすが俺と自分を褒める。
 ミツバコマツナギという名前を見て、しかし、そんな私でもコマツナギについては、すぐには何のことか判らないかった。「まだまだだぜ俺」と謙虚になる。

 参考文献に名前の由来は無かったので、自身で想像してみた。コマツナギ、「コマとツナギ」か、「コマツとナギ」のどっちだと考える。植物であることを考慮すれば「コマとツナギ」より「コマツとナギ」の方が想像しやすい。
 「コマツとナギ」であれば「小松梛」であろう、「小さな松のような梛の仲間」ということになる。ところが、梛はマキ科の常緑高木針葉樹で、ミツバコマツナギはマメ科の多年草である。「全然違うじゃねーか」となって、この案は却下。

 「コマとツナギ」ならどうなる?「コマって独楽かなぁ、駒かなぁ」と考えている時、広辞苑を思い出した。で、コマツナギを引いたら、何とそれがそのままあった。駒繋ぎと書き、第一義は「馬をつないでおく所」とあり、第二義に「マメ科の低木状草本。地面を這う。原野にごく普通・・・」とあり、さらに、「小さいが茎が強靱だからいう」と名前の由来まで載っていた。「早く広辞苑を思い出せよ、ばーか」と自分自身を罵った。
 
 ミツバコマツナギ(三つ葉駒繋ぎ):海岸野草
 マメ科の多年草 原産分布は不詳 方言名:不詳
 名前の由来、漢字の駒繋ぎは広辞苑にあった。その字を見て「ロープで繋ぎ止めなくても馬がそこから離れないほど馬の大好きな草だから」と私は想像したが、広辞苑の説明の中に「小さいが茎が強靱だからいう」とあった。ミツバは3出複葉だからであろう。
 別名としてナハエボシグサとあり、那覇烏帽子草と漢字を充ててみた。烏帽子は葉の形がそのように見えないことも無いが、那覇は?、那覇特産ということは無い。
 原産分布が私が手元に置いて利用しているどの参考文献にもなくて不詳。広辞苑には「原野にごく普通」とあり、コマツナギは全国に分布しているようである。本種ミツバコマツナギは、参考文献の『沖縄教材植物図鑑』、『沖縄植物野外活用図鑑』の写真は両者とも沖縄島、私の写真は宮古島。『沖縄教材植物図鑑』のサブタイトルは「路傍の草木」なので、沖縄島、宮古島では「ごく普通」だと思われる。そしておそらく、沖縄や宮古で普通ならば八重山でも普通に見られるとも思われる。
 茎は基部で多数分枝して横に広がり、高さは15センチほど、長さは40センチほどに伸びる。小型の3出複葉、裏面に毛が生えていて粉白色をしている葉が特徴。花は緋紅色で小さく目立たない。海岸や砂浜に多く見られる野草。
 記:島乃ガジ丸 2017.11.11  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『沖縄やんばるフィールド図鑑』 湊和雄著 実業之日本社発行
 『グリーン・ライブラリー』タイムライフブックス発行
 
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