クサトケイソウ
 沖縄はただいま(6月4日)梅雨真っ只中、ジメジメした天気が続いている。沖縄の梅雨は空梅雨となることも多く、水不足で渇水対策委員会なんてのがたびたび設けられるのだが、今年の梅雨は梅雨らしい梅雨。私の部屋ではカビが大いに喜んでいる。
 この時期、スーパーの店頭に並び始める果物がある。和名をクダモノトケイソウ、スーパーではパッションフルーツという名前、こちらがポピュラーであろう。甘酸っぱくて香りの良い果物だ。昨年から私も好きになって、食べる機会が増えている。
 食べると書いたが、実際は、食べるよりは飲む機会の方がはるかに多い。飲むのも、水で割って蜂蜜などを加えたジュースよりも、泡盛の水割りに加えて飲む機会が断然多い。とても美味しいカクテルとなる。特に、その香りが癖になる。

 昨年の七月、大東島を旅した時に、クダモノトケイソウに似た花を見つけた。道端に咲いていた。似ているけど少々違う。少々違うがトケイソウの仲間には違いないと確信できる。何しろトケイソウの花は独特の形をしている。他の植物とは違いが大きい。
 これはトケイソウの仲間だと思って調べると、その通りで、すぐに何者かが判明した。クサトケイソウであった。クダモノトケイソウと同属のようだが、あいにく、果実は小さく(2センチほど)、食用にならないみたいである。残念ですなぁ。

 クサトケイソウ(草時計草):野草
 トケイソウ科の蔓性二年草 南アメリカ原産 方言名:なし
 名前の由来は、『沖縄植物野外観察図鑑』に「和名は草時計草の意味で名付けられました」とあった。トケイソウそのものが草なので、「草時計草の意味」がよく分からない。トケイソウよりもっと草?・・・トケイソウは花が大きくきれいで、観賞用になるが、本種は観賞するほどでも無い、つまり、トケイソウよりもっと雑草ということか。
 トケイソウのトケイについては広辞苑に「時計」と表記があり、「花の構造が時計の文字板を思わせるからいう」とあった。それはその通りと納得できる。
 路傍に生える蔓性の野草で、南アメリカ原産の帰化植物。沖縄島、大東島に見られると文献にあったが、沖縄島では私は見たことが無い。大東島では多く見た。。
 花の形はクダモノトケイソウ(パッションフルーツ)の花に似ている。色は、外側は白色で中心部は紫色、開花期は7月から10月。

 蕾
 記:島乃ガジ丸 2010.6.4  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
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