クマツヅラ/ヒメクマツヅラ
 「天つ神」の「つ」は、「の」と同じ役目の助詞で、「天つ神」は「天の神」ということになる。その「つ」と同じ「つ」であろうと初め考え、クマツヅラは「熊の面」ということかと思っていたが、漢字は熊葛であった。そうじゃった。葛というツヅラがあったのでござった。ツヅラは「野生の蔓植物の総称」(広辞苑)なので、クマツヅラはしたがって、力強い、または逞しい野生の葛ということなのであろう。
 しかし、クマツヅラは蔓植物ではない。いや、昔の人には蔓に見えたのかもしれない。いやいや、もしかしたら、私以外の人には蔓に見えるのかもしれない。「私の目は確かか?節穴になっていないか?大丈夫か?」などと自問し、多少不安になる。
 自分の感性に自信が持てなくなり、生きていることそのものに不安を感じてしまう。ひょっとしたら、そんなことから人は鬱病になったりするのかもしれない。鬱病になって自殺したりするのかもしれない。いやいや、自殺はいけません。そうなるくらいなら、何の根拠も無くていいから、自信は持っておこう。悩める羊よりは、熊の面を借りてでも自信は持っておこう。・・・クマツヅラは蔓植物では無い、・・・と私はきっぱり。
 
 クマツヅラ(熊葛):野草・薬用
 クマツヅラ科の多年草 本州以南、南西諸島などに分布 方言名:センスルーグサ
 クマツヅラ科のクマツヅラ。本家本元のクマツヅラであるが、名前の由来はよく解らなかった。蔓植物では無いのにツヅラ(葛)とはこれいかに、なのである。力強い、または逞しい野生のという意味からクマ(熊)ということなのではあろう。
 方言名のセンスルーグサ、アーケージェークサはだいたい想像ができる。センスルーはイトトンボ類の総称、アーケージェーとは中型トンボの総称で、おそらく、トンボがよく止まっている草、ということだと思われる。
 高さは30〜90センチていど。日当りの良い道端や空き地に生える。葉は卵型で、普通3裂し、長さ4〜8センチ、裏表に粗毛がある。裂片は羽状に切れ込む。
 茎の上部に長い穂状花序を出し、薄紫色の小さな花を多くつける。開花期、広辞苑には「初夏」と書かれてあったが、『沖縄四季の花木』に6月〜11月とあった。
 分布は上記の他、台湾、ヨーロッパ、アフリカ、北アメリカなどともあった。
 全草が薬用に利用されるとのこと。通経薬、腫物に用いるとのこと。 
 花


 ヒメクマツヅラ(姫熊葛):帰化雑草
 クマツヅラ科の多年生草本 北アメリカ原産 方言名:なし
 クマツヅラという名前に関しては、上述の通りよく判らなかった。ヒメ(姫)は小さいものといった意味で使われる。クマツヅラが高さ30〜90センチなのに対し、本種は高さ50センチから2メートルになる。それなのにヒメとはこれいかに。クマツヅラに比べて花が小さいということかららしい。ちなみに、クマ(熊)は大きいという意味で用いたりもする。姫で熊、小さくて大きい、・・・禅問答みたい。
 花は淡い青色で小さく、花茎を伸ばし、その先に穂状につく。開花期について、これも参考文献の中に記載は無かったが、文献の写真は7月、私の写真は10月下旬である。

 訂正加筆:2018.8.7
 記:島乃ガジ丸 2006.6.5  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
inserted by FC2 system