コニシキソウ
 祖母が死んだのは今(2014年)から26年前、その頃は私もまだ若く、テレビもよく観ていたし、スポーツ観戦も好きだった。高校野球、プロ野球、大相撲、ボクシングの世界戦、ラグビーの日本選手権などを好んで(テレビで)観ていた。高校野球はもちろん沖縄の学校を応援し、プロ野球はアンチジャイアンツ派、大相撲では、記憶は定かでないが、もし千代の富士が現役の頃であったならば、千代の富士のファンであった。
 祖母も千代の富士が大好きだった。テレビの前で熱狂的に応援していた。何事にもほどほどの私は恋愛でも情熱的にはならず、淡々と告白し、淡々と振られ、淡々と悲しい心を時間という薬で癒すのであるが、スポーツ観戦でも贔屓のチームや贔屓の選手にさほど情熱的な思い入れはしない。「なるべくなら勝ってね」という程度であった。

 祖母の嫌いな力士がいた。小錦という力士、すごく大きいのに小がつく力士。ハワイ出身で、言葉の通じない外国に来て、外国のスポーツに果敢に挑み、努力して強くなった力士だ。祖母は小錦が出てくると、「えな、アメリカーひゃー」と罵ったりした。「嫌なアメリカ人め!」といった意味。戦争の恨みがまだ残っているのかと思ったほど。

 今回紹介するコニシキソウは漢字で小錦草と書く。力士の小錦とまったく同じ字。ただし、コニシキソウの場合は力士の小錦と違い、名の通り小さい。

 コニシキソウ(小錦草):野草
 トウダイグサ科の一年草 北アメリカ原産 方言名:不詳
 名前の由来、ニシキソウは『名前といわれ野の草花図鑑』に「茎の赤色と葉の緑色との調和が美しいことから錦にたとえた」とあり、コ(小)は、ニシキソウに比べ小さいからだと思われる。コニシキソウは「普通に見られる」のだが、ニシキソウは沖縄の植物を紹介している文献の1冊にのみ載っており、沖縄では少ないものと思われる。
 茎の長さは10〜30センチで、地面を這って分枝しながら広がる。茎を切ると白い液が出る。葉の中央に濃紫色の斑紋がある。畑や野原に普通に見られる。
 花の色は黄緑色〜暗紅色で、開花期は6月から9月。
 学名は、Euphorbia supina Ratim
 記:島乃ガジ丸 2014.2.9  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
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