コミカンソウ/キダチコミカンソウ
 私の脳味噌は、計算をしたり、物事を組み立てて結論を得るというような能力は、少なくとも周りの友人たちの中では”できる”方だと思うが、物の色や形を判別して、それを記憶するという能力においては劣っている。
 人の顔を覚えるのも苦手としている。3年間苦楽を共にした人と半年後に道端でばったり出会って、その人がどこの誰だか思い出せなかったことがある。「見たことある人」、「何度か会っている人」、「最近の付き合いだがよく知っている人」、「古くからの付き合いでよく知っている人」の内、彼女は「最近の付き合いだがよく知っている人」であることは思い出せたのだが、最近どこで付き合っていたのかが思い出せない。名前はもちろん、これっぽっちも出てこない。失礼な事をしたのであった。
 「物の色や形を判別して、それを記憶するという能力」というのは、じつは、こうやって植物や動物を紹介する上ではもっとも役に立つ能力であると思う。私のパソコンにはまだ未発表の、植物や動物の写真が300枚ほどあるが、記事を書くのが追いつかないので未発表なのではあるが、名前の判明していないものも100枚ほどある。これにも似ているし、あれにも似ているし、どっちなんだと悩んでいる。

 コミカンソウとキダチコミカンソウもよく似ていて、判別にちょっと悩んだが、大きい方がキダチコミカンソウとのこと。ところが、たとえば、遊んでいる子供に、「ねえオジサン、これ何ていう草」と訊かれたとしても、図鑑無しには、私はそれに答えることができない。私の脳味噌は、生物の先生には向かない脳味噌のようである。

 コミカンソウ(小蜜柑草):野草
 トウダイグサ科の一年草 本州から南西諸島に分布 方言名:ニンビニンビバー
 夏から秋にかけて、葉の根元から花茎を出し、赤褐色の小さな花をつける。果実もまた小さく、熟すると赤褐色になり、平たい球形をしていてミカンに似ている。そこからコミカンソウという名前。名前だけで、ミカンとはまったく別の植物。食えない。
 道端や野原に生え、畑で多く見る。ちょっと放っておくと、辺り一面を覆ってしまう。が、除草は楽。引っ張れば根っこごと抜ける。力もそう要らない。
 高さは10〜30センチほどになる。分枝した枝に小さな葉が対生するので羽状複葉に見えるが、そうでは無い。別名キツネノチャブクロ。




 キダチコミカンソウ(木立小蜜柑草):野草
 トウダイグサ科の多年草 熱帯アメリカ原産 方言名:なし
 コミカンソウと同属で、見た目もよく似ている。コミカンソウより背がずっと高く、直立しているところからキダチ(木立)とつく。虫の目で見れば大きな樹木。
 高さ30〜80センチ 淡緑色のごく小さな花が葉脇につく。『沖縄植物野外活用図鑑』に「1975年頃から沖縄島で見られるようになった」とあるが、今では、職場の庭、アパートの畑でも、コミカンソウより本種のほうがずっと多い。
 記:島乃ガジ丸 2006.8.6  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
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