コメツブウマゴヤシ
 コメツブ(米粒)とは、
 「昨日、ふかひれを食ったぞ。」
 「貧乏なくせに、よくもそんな高級なもの食えたな。」
 「おう、米粒ほどの大きさだったさ。」
 といったように「ごく小さいもののたとえにもいう」(広辞苑)。
 私の場合、財産とか給料とかお金に関することがその喩えになる。

 ウマゴヤシ(馬肥)は、「馬を肥やすもの=馬の餌」ということであるが、馬肥という文字からは、「天高く馬肥ゆる秋」という言葉が真っ先に私は思い浮かぶ。肥えた馬だ、そうなると、コメツブウマゴヤシは「ごく小さな肥えた馬」ということになる。
 そんな矛盾した名前のコメツブウマゴヤシ、沖縄の野原ではよく見かける。

 コメツブウマゴヤシ(米粒馬肥):野草
 マメ科の二年草 ヨーロッパ原産 方言名:ウシミンナ
 同属のウマゴヤシに良く似ていて、花が米粒のように小さいというところからコメツブウマゴヤシという名前。ウマゴヤシについては下記参考。
 ウマゴヤシは全体に大型で、果実の形も独特で判別しやすいらしいが、それより本種はコメツブツメクサの方に、さらに良く似ている。両者を並べて見比べないと、私には判別できないかもしれない。ただ、本種は概ね匍匐性で、コメツブツメクサは立ち上がるとのこと。なお、コメツブツメクサはシロツメクサと同属で、本種とは別属。
 茎の長さは60センチほどになり、根元から地面を這うようにして伸び、途中から斜めに立ち上がる。マメ科の植物には緑肥になるものが多いが、本種もそう。

 花

 ウマゴヤシ(馬肥・苜蓿)
 マメ科の二年草 地中海地方原産 方言名:なし
 元々、江戸時代に緑肥、牧草としてヨーロッパから渡来したもので、馬の肥やしとなったことからウマゴヤシという名前。コメツブウマゴヤシには方言名があって、本種には無いということは、沖縄ではウマゴヤシよりも、コメツブウマゴヤシの方が一般的だったのかもしれない。その辺のことは文献に無いので、正確なところは不明。
 江戸時代に渡来し、概ね海辺で野生化する。根元から分枝して地上を這うようにして広がる。先端部は斜めに立ち上がって60センチほどになる。葉腋から花茎を出しその先に黄色の小さな花をまとまってつける。全草を肥料・牧草とする。

 コウマゴヤシ(小馬肥)
 マメ科の二年草 ヨーロッパ原産 方言名:なし
 ウマゴヤシに良く似ていて、全体に小型なのでコウマゴヤシという名前。
 茎は地上を這うか、または斜めに立ち上がって30センチほどになる。花は黄色で小さく、春から夏にかけて咲く。明治初期に渡来し、海岸近くに野生化する。
 記:島乃ガジ丸 2008.2.27  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
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