コマツヨイグサ
 待てど暮らせど来ぬ人を・・・
で始まる歌『宵待草』、確か竹久夢二の作詞だったと記憶しているが、最初に聞いた頃はヨイマチを酔い待ちと捉え、「酔って待つか?何か色っぽいな」などと思っていた。酔って待つだけでは無い、自分を草に喩える、「できた女」だとも思った。
 ヨイマチグサが宵待草であることはすぐに分かって、「宵を待つ女か、やはり色っぽいじゃねーか」と思い、「酔って待つ女よりこっちの方が清楚だな」となった。
 酔いでも宵でもいいが、そのヨイマチグサという名で覚えていたせいか、マツヨイグサという名前には多少違和感があった。待宵草、漢文のように待と宵の間にレ点を入れて宵を待つと読めるが、「酔いを待つ」となると場面が違ってくる。女が酔うのを待って、それからあーしてこーして・・・と考える邪な男が登場する。そんな場面。

 マツヨイグサは淡い黄色の花を咲かせる。清楚な花だと思う。「酔って待つ女」でも無く、「女が酔うのを待っている」からも遠い。夕暮れ時、来るはずの男を「早く来て」という想いを秘めながら静かに待っている女、抱きしめてあげたい。

 コマツヨイグサ(小待宵草):野草
 アカバナ科の多年草 北アメリカ原産 方言名:不詳
 名前の由来について資料は無いが、広辞苑に待宵草と漢字表記があり、それで、容易に想像がつく。待宵は「訪れて来るはずの人を待っている宵」(広辞苑)とのことだが、ここではそのまま「宵を待つ」という意、本種の花が宵を待っている。
 待宵草は「アカバナ科マツヨイグサ属・・・数種の総称。オオマツヨイグサ・アレチマツヨイグサなど」(〃)とあり、本種は小型なのでコがつくのであろう。
 高さは10〜60センチほど、地上を這って広がるタイプと斜向するタイプがあるとのこと。花は淡黄色で、夕方から開き始め朝にはしぼむ。開花期については資料が無かったが、文献の写真は3月、私の写真は6月、で、春から初夏としておく。
 主に海岸の砂地に生えるが、道端や野原でも見られる。「葉は、根元はロゼット状で長い柄があり上部の茎に着く葉には葉柄が無い」とのこと。私は未確認。

 花
 記:島乃ガジ丸 2013.3.12  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
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 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
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