カタバミ/アカカタバミ
 冬にはほとんど見えなかったカタバミが、2月後半から出始め、アカカタバミ、ムラサキカタバミと共に、この時期(4月)、畑の雑草の王者となっている。
 畑の除草作業をしている際に、何かが腕や顔に当たる。最初の頃は、雑草を引き抜いた時に、その勢いで細かい土が飛んできているのかと思った。3月に入ってからの何度目かの除草作業の際に、やっとその真犯人が判明した。
 カタバミのことをウチナーグチ(沖縄口)でメーハジチャーと言うが、「実が爆ぜる」という意であろう。実に触れるとパチパチと音を立て、たくさんの小さな種が勢いよく爆ぜる。これまでの長い人生、カタバミには何度も出会っているはず。何で今までその実が勢いよく爆ぜることに気付かなかったのか、不思議に思うほど。
 アカカタバミは、花も実もカタバミとほとんど同じ。葉の色が赤っぽく見えることが違うだけ。実もカタバミと同じく、触ると勢いよく爆ぜる。カタバミもアカカタバミも実が爆ぜて、種を遠くへ飛ばして繁殖すると同時に、茎が地面を這って、茎から根を出して繁殖する。どちらも駆除の困難な畑の厄介者となっている。

 カタバミ(方喰):雑草
 カタバミ科の多年草 分布は熱帯 方言名:メーハジチャー、バサナイグヮー
 カタバミは広辞苑にあり、酢漿草という字があてられている。これは、「全草に酸味があり」で酢、漿は液体という意味で、全草に酸っぱい汁がある草ということであろう。方喰という字は参考文献にあった。由来については書かれていないが、おそらく、葉が、片方喰われたような形状をしているからであろう。
 方言名のメーハジチャーは、実が爆ぜるという意、その通り、勢いよく爆ぜる。バサナイグヮーは小さなバナナという意、果実の形がバナナに似ている。他にシーサアマサーというのもある。シーサは酸っぱい、アマサーは甘いという意、茎葉の汁を舐めると酸っぱくて、ほんのり甘い味がするのかもしれないが、未確認。
 葉は夜になると閉じる。葉をすり潰した汁はすっぱい味がし、痔に効くとある。また、葉で十円玉をこするときれいになるとのこと。痔に効くかどうか、十円玉がきれいになるかどうかも未確認。花は黄色の一日花、開花期は春から秋。
 根が浅く、ムラサキカタバミのような鱗茎を持たないので、駆除もムラサキカタバミに比べれば楽だと思う。「比べれば」の話。私には手に負えない。

 花                   実

 はじけた種               ムラサキカタバミとの群落


 アカカタバミ(赤方喰):雑草
 カタバミ科の多年草 帰化植物 方言名:不詳
 カタバミの名前の由来についてはカタバミに同じ。本種は草全体が暗赤色しているのでアカ(赤)とついて、アカカタバミという名。
 日当たりのよい道端、野原、畑地に生える雑草。種が飛んで増え、茎が地上を這い、地についた茎から根を出して増殖する。茎も根も細く切れやすいので駆除するのは厄介。
 花色は黄色で、基部に赤斑がある。カタバミより小型。開花期について記載はないが、文献の写真は5月で私の写真は3月。私の経験から、春から夏ということにしておく。

 花                   実
 記:島乃ガジ丸 2010.3.31  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
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