インチンナズナ |
高校生の頃、陶芸(楽焼のみ)をやっていたこともあって、焼き物には多少の興味を持っていた。「いた」と過去形なのは、「物を持たない人生」を理想として、それを目指すようになった十数年前からその興味も薄らいでいる。 多少の興味を持っていた30年ほど前には窯元巡りをやり、焼き物図鑑にもよく目を通していた。「あー、そうか、壷屋(沖縄の焼き物のメッカ)に足繁く通っていたのはもう30年も前のことだったか、光陰矢のごとしだぜ」と、溜息が出る。 それはさておき、30年前焼き物図鑑によく目を通していたという割には、私の脳に記憶されている焼き物に関する知識は少ない。忘れている。伊万里、有田、常滑、瀬戸などの産地や、陶器、磁器、楽焼、青磁、白磁、染付、焼締めといった焼き物の種類などが出てくるくらい。釉薬や顔料にもいろいろ種類があったと思うが、脳味噌をひねくり回してもなかなかその名前は出てこない。・・・あっ、呉須とか辰砂とかあった。 インチンナズナのインチン、面白い響きの名前だが、その由来は私の持っている文献には資料が無く不明。下品な私はすぐに「陰ちん」と想像してしまうが、もちろん、そうではなかろう。インチンを広辞苑で引くと、影青という漢字表記で「中国の白磁の一種。白色の素地に淡青色の釉が掛かったもの」というのがあった。そういう種類の磁器もあったのかと、これは私の脳味噌をどんなに弄繰り回しても知識として無かった。 インチンナズナ(いんちん薺):野草 アブラナ科の一年草 南アメリカ原産 方言名:不詳 名前の由来は資料が無く不明。ナズナは薺と漢字表記が広辞苑にあるが、漢字の薺も読みのナズナも由来は不明。夏菜かと閃いたがナズナは春の七草の一つだし、開花期も春なのでこれは適当でない。もう一つ、懐く菜とも閃いた。畑に普通に見られるし、春の七草で親しいし、もしかしたらこれが当っているかもしれない。 インチンは漢字も不明。インチンを広辞苑で引くと影青が出てくるが、これは磁器の名称で関係なさそう。もう一つ、インチンコウというのがある。「漢方生薬の一つ。カワラヨモギの幼苗を乾燥したもの」のこと。カワラヨモギとナズナは似てなくもない。 畑地や野原、道端などで見られる。茎は多く分枝して横に広がり、葉は柔らかく、羽状に分裂し独特の形を見せる。草全体に臭気がある。 花は白色で、小さくて目立たない。開花期については資料が無く不明。 実 |
記:島乃ガジ丸 2014.1.4 ガジ丸ホーム 沖縄の草木 |
参考文献 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行 |