ホシダ
 「重いコンダラ、シレンの道を、ゆくが男のど根性」と子供の頃覚えていたアニメの主題歌がある。この曲が流れている画面では、主人公の少年が何か重そうなものを引きずってグランドを走っていたように記憶している。その重そうなもののことをコンダラというんだな、と純情な少年の私は思い込んでいた。そのアニメの主人公は誰だ?
 「ほしだ。」・・・という意味のホシダでは無く、今回紹介するのは、ありふれたシダ植物のホシダ。実にありふれているのだが、私はこの名前をつい最近、つまり、このHPを始めて、植物図鑑を多く見るようになってから知った。ホシダ→「星だ。」→「巨人の星だ。」→「重いコンダラだ。」と私の脳は思考したのである。

 ごくありふれているホシダは、あちらこちらでお目にかかるが、職場の庭に多くある。おそらく、私が勤めるようになった20年前からある。観葉植物として有名なオオタニワタリ(アビス)やタマシダを除いては、シダ植物はどれもひっくるめてシダということに私の脳は分類し、庭のグランドカバーにするものという認識であったため、職場の庭のあちらこちらに群生しているシダは、わざわざ植えたものであろうと思っていた。
 今回、職場の庭をちょっと調べてみた。そこにはシマオオタニワタリ、リュウキュウイノモトソウ、そしてホシダの三種のシダ植物があった。シマオオタニワタリは5株、わざわざ植えたもののようである。リュウキュウイノモトソウは勝手に生えたものだが、その数はごく少ない。しかしホシダは、地面を覆っている面積にするとリュウキュウイノモトソウの百倍くらいはある。初めは、わざわざ植えたものかもしれないが、勝手に広がったに違いない。今ではもう、鬱陶しいほどに蔓延っている。

 ホシダ(ほ羊歯):野草
 オシダ科の常緑多年生シダ 沖縄の各島に分布 方言名:ワラビグサ
 ホシダのホがどういう字なのか、参考にしている文献には記載が無かった。百はホとも読む。「八百万の神」の八百万は、正確にはヤホロズと仮名をふる。で、本種が群生するところから百。あるいは、葉の見た目から帆、または、畑で多く見られるところから圃、などなどいくつか考えたが、百の方がいいかな、と私は思う。
 方言名のワラビグサ、ワラビはウチナーグチ(沖縄口)で童のことを言うが、子供の草では意味がよく解らない。おそらく、蕨草であろう。見た目が蕨に似ているから。
 葉は長さ30から90センチ。葉は先に向かって細くなり、先は尖っている。根が地下を這って広がり、時には群生する。葉の裏に胞子のうがついている。
 記:島乃ガジ丸 2007.6.23  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
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