ギシギシ
 このHPで雑草を紹介しているが、元々、野原や路傍の草などに興味を持っていたわけでは無い。HPを始めるようになってから雑草を観察するようになり、まあ、いろんなものがあるもんだと名前を覚えるようになった。もちろん、HPをやる前から知っているものもいくつかある。身近なススキ、チガヤ、タンポポ、スミレなどは子供の頃から周りの大人たちに教えられて知っており、20年ほど前、畑を趣味にするようになってからはヤファタ、コウブシ、サシクサ、ミンナなどを覚えた。
 教えられたこともなく、調べたわけでもなく、また、その実物も知らないのだが、名前だけは以前から知っている雑草もある。ギシギシもその一つ。
 ギシギシは私が知っているほど、その名前は有名である。面白い名前なので私も知っているのであるが、参考にしている文献には名前の由来が載っていなかった。ただ、ギシギシという言葉が辞書にある。「ものを無理に押し詰めるさま」(広辞苑)とのこと。ギシギシの花は、花穂に小さな花がギシギシ詰まっている。

 ウチナーグチにハーギシギシーという言葉がある。「歯を無理に押し詰めるさま」ということでは無い。ギシギシのもう一つの意味、「ものが大きくすれ合って立てる音」の方である。悔しい時や怒った時などに歯をギシギシ噛み鳴らす様を言う。
 ハーギシギシーという言葉はよく使った。身近なウチナーグチである。で、ギシギシという名前も、実物は知らないが、そういう名の草があることを覚えているわけである。
 腹を立ててもウチナーンチュの多くは歯をギシギシさせながら我慢する。今時の若者のようにすぐにキレて、手を出すようなことはしない。ハーギシギシーばっかりさせているので、ウチナーンチュの多くの人は、歯が磨り減っていると思われる。確かでは無い。

 ギシギシ(羊蹄):野草
 タデ科の多年草 方言名:スーメーサ
 ギシギシは見た目だと思うが、正確なところは不明。羊蹄という字は広辞苑にあった。おそらく漢名であろう。どこが羊の蹄なのか、葉は全然そう見えない。果実がそうなのかもしれないが、ちゃんと観察していないので、正確なところはこれも不明。
 方言名は『沖縄園芸大百科』にスーメーサとあり、『沖縄教材植物図鑑』にはアーマキドンドンとあった。スーメーは大和商人という意味があるらしいが、意味が繋がらない。スー(全ての)メーサ(へつらう者)としたって、意味不明。アーマキドンドンも不明。チムドンドン(心臓ドキドキ)という言葉はよく知っているが、アーマキが何を指しているかが分らない。泡巻きということかもしれない。果実がそのように見えるかも。
 高さは30〜50センチ、横幅もある大型の雑草である。沖縄では春、野原や道端、畑でもよく見かける。3月頃にに淡緑色の小さな花が咲き、小さな果実を多くつける。
 葉は酸味が強いらしいが、若葉は茹でて食用になるとのこと。根は太く長く、薬用になる。刻んで乾燥させて、服用し、便秘に効くとのこと。

 花
 記:島乃ガジ丸 2007.5.20  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
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