エノコログサ
 私は動物が嫌いというわけでは無いが、また、友人知人の家の、ペットとして飼われている犬猫ともすぐに仲良くなれるので、おそらく彼ら(現在、敵対関係にある近所の野良猫は別にして)も私のことを嫌っていることは無かろうと思うのだが、今までペットを飼おうなどと思ったことは一度も無い。私の部屋にはヤモリが住み着いているが、それは私の生活とはまったく無関係に、勝手に生きてくれるので何の問題も無い。ペットを飼うのが嫌なのは、その面倒をみるのが、面倒だと思っているからである。

 エノコログサという植物は、どこにでも見かける雑草で、ネコジャラシという名前で私も以前から良く知っている。ネコジャラシの本名がエノコログサであることは、今回調べて初めて知った。ネコを遊ばすのに適したネコジャラシの穂が、イヌの子の尻尾に見立てられての名前らしい。イヌのシッポ?・・・ピンとこないが。
 中学だったか高校生の頃だったか、家に猫を飼っていたことがある。子供の頃からペットは好きでなかった(自然の生き物に対する愛情は人並みにある、と思っている)ので、私が欲しがったのでは無く、したがって、私が面倒を見ることもほとんど無かった。
 その猫、確か三毛猫だったと思うが、なかなかのバカ猫で、自分のシッポをネコジャラシの穂と勘違いしてか、シッポを追いかけてぐるぐる回っていた。彼女(メス猫だった)のシッポは、もう少し細ければネコジャラシの穂に似ているといってもよかった。
 猫は名前をニャン太(命名は私)といったが、男に騙される性質(たち)のようで、よく妊娠した。妊娠しても流産することが多く、生まれたとしても育たなかった。彼女には母親としての能力が無いみたいであった。思えば、いつも悲しい顔をしている猫であったのだ。心の優しい私の弟がかわいがっていたが、可哀想な猫だったと、今さらながら私も思う。エノコログサ、「ニャン太の尾草」と、私は呼ぶことにしよう。

 エノコログサ(狗尾草):野草
 イネ科の一年生草本 全国に分布 方言名:ムシグヮー
 本土では高さ20〜40センチとあるが、沖縄では30〜60センチにまでなる。また、名前の由来ともなっている緑色の穂は、本土では夏に出すようだが、沖縄では6月から10月まで見ることができる。空地、畑地で普通に見られる雑草。
 漢字の狗尾は、狗(イヌ)の尾で、エノコは犬の子、エノコノオグサが変化してエノコログサとなる。穂が子犬の尾に似ているところからつけられた。別名をネコジャラシというが、穂が風に揺れるのにネコがじゃれて遊ぶからなのだと想像される。
 記:島乃ガジ丸 2005.7.12  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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