アワユキセンダングサ
 安座間港にもアワユキセンダングサがいっぱい花を咲かせていた。“にも”と書いたのは、アワユキセンダングサはいたるところに蔓延っていて、土の上なら、たいていどこでも花をみることができるから。“蔓延っていて”と書いたのは、泡雪などと源氏物語にでてきそうな風靡な名前がついているが、来るなと願ってもやって来る雑草だから。
 雑草としてはしかし、畑作業をする私にとっては、他のススキやコウブシ、カタバミなどよりも扱いやすい。種がなる前に根こそぎ抜いてしまえば、誰かがどこかから種を運んでこない限り繁殖することは無い。そして、他の雑草より根こそぎ抜くことが容易い。
 自然農法をやっている知人は、この草が増えるのを構わないでいる。畑に作物を植えるとき邪魔になる草を引っこ抜き、畦道に敷く。草は緑肥となって畑の栄養となり、畦道は半年後に畑に変わる。センダングサの花はミツバチの密源としても上質で、養蜂家にとってはありがたい草なのだとも、その知人は言っていた。

 センダングサにはシロバナセンダングサ、ハイアワユキセンダングサ、タチアワユキセンダングサなどの種があるらしいが、どれも花は白いので区別は難しい。ハイアワユキセンダングサのハイは這い、タチアワユキセンダングサのタチは立ちということで、上に伸びるか、横に広がるかの違いがあるようだ。しかし、私にとってはそんなことどうでもいいこと。白い花の咲く引き抜きやすい雑草という括りで十分なのだ。

 アワユキセンダングサ(泡雪栴檀草):雑草
 キク科の一年生草本。分布は熱帯、亜熱帯各地。方言名:サシグサ
 白い8枚前後の花びらを精一杯開いて、単独で見れば可愛い花だが、草全体の形が良くない。行儀がすこぶる悪い。顔は可愛いけれど態度が悪い、あばずれ娘といった感じ。その種はさらに始末が悪い。1cmくらいの長さの、黒い針状のもので、人の衣服にびっしりくっついて、チクチクして鬱陶しい。軍手なんかにくっつくとなかなか剥がせない。方言名のサシグサ(刺し草)はここからきている。
 剥がすのが面倒な種なんだが、一定の時間(実験していないので正確には判らないが、2、3時間)が経つと自然に落ちるような仕組みになっているようだ。それは、あちこちに繁殖するには効果的な方法だ。従って、草そのものの繁殖力は極めて強い。油断するとあっという間に広がる。戦後の帰化植物とのこと。開花は周年、よって、結実も周年。
 記:島乃ガジ丸 2004.12.21  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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