アメリカネナシカズラ
 根無し草とは、そのまま「根のない草」のことであるが、「浮いて漂う物、また、浮いて定まらない物事にたとえていう。」(広辞苑)ことでもある。少なくとも私は、「俺は根無し草みたいなもんだ。」と、後者の意味で使う場合が断然多い。若い頃、長い間(10年ほど)フリーターだったので、身分の定まらない期間が長かった。
 身分だけで無く、気分はその頃から「浮いて定まらない者」であり、オジサンとなった今でもずっと「浮いて定まらない」気分のままである。なので結婚しない(できないのでは無い、たぶん。)のだ。気分はいつでも隙あらば、っていうか、正確に言うと、暇と金があれば旅に出たがっている。旅こそ我が恋人だ(ということにしておく)。

 ネナシカズラはその名の通り根の無い蔓、他の植物に絡みついて、その植物から養分を吸取って生きている。植物が地中に根を張って頑張って手に入れた養分を奪っている。女に絡み付いて、女に働かせて、その女から金を吸取って生きているヒモみたいだ。
 私はけして、ヒモのような真似はしない。「あー、何て誠実な人。」と思ってくれると助かるが、実は、ヒモになれるほど魅力的な男では無いということ。残念だが。

 アメリカネナシカズラ(亜米利加根無葛):海浜地の野草
 ヒルガオ科の蔓性一年草寄生植物 北アメリカ原産 方言名:不詳
 ネナシカズラ(根無葛)が広辞苑にある。「ヒルガオ科の蔓性一年生の寄生植物」で、「他の草に巻きつき、吸盤で宿主から栄養を奪う。」とのこと。漢字からも判るように、根が無い。ので、ネナシカズラ。本種は北米原産なのでアメリカと付く。
 スナズルと同じように、海岸の草や蔓植物に巻きつき、宿主から栄養を吸い取って生育する。生育地も生態もスナヅルと似ているが、スナヅルはクスノキ科、本種はヒルガオ科で、種は遠い。スナヅルの方言名の一つにソーミングサ(素麺草)とあるが、本種こそがソーミングサの名に相応しい。スナヅルはウドン草とでも呼ぶべき。茎の太さがそのように違うので、同じ場所で見たとしても区別ははっきりつく。
 茎は黄色く、他のツル植物(グンバイヒルガオやハマササゲなど)の上に細かいネットを張っているかのように覆いかぶさっているのでよく目立つ。花は小さいが、茎のあちらこちらにかたまって多く付くので、これも目立つ。白色花、開花期は8〜10月。
 学名、アメリカネナシカズラ Cuscuta pentagona Engelm.
 ネナシカズラ Cuscuta japonica Choisy

 花
 記:島乃ガジ丸 2009.10.7  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
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