ワケギ
 私はウチナーンチュのくせに泡盛よりはずっと日本酒が好きだし、沖縄ソバよりはずっと蕎麦が好きである。蕎麦の中でもとろろ蕎麦が大好きだが、刻みネギとワサビを少し入れただけの麺つゆで食べるざる蕎麦も好きである。
 私は饂飩も好きである。好き順でいうと、蕎麦、饂飩、沖縄ソバとなる。蕎麦のつゆに入れる薬味のネギは長ネギの白いところだけが好きで、饂飩の汁、沖縄ソバの汁には青ネギの方を好む。青ネギでも特にワケギを好む。ワケギを細かく刻んだもの。

 一昨日、そう好きではない沖縄ソバを買った。沖縄ソバは安いのだ、2食分で90円。蕎麦は高いので貧乏している今は買うのに躊躇する。その日は1食分を豚肉とキャベツを入れて焼きそばにしたが、昨日は残った1食分を普通の沖縄ソバで食う予定だった。
 畑にはワケギを常に植えており、今、10株ほどは収穫できるほどに育っている。昨日それを2、3株収穫して沖縄ソバに使う予定であったが、他の作業に手間取っている内に雨が降り出し、結局、ワケギを収穫せぬまま帰宅した。
 「なーに、ソバは明日まで持つだろう、ワケギは明日収穫すればいいさ」と思ったのだが、その明日になると、未明から雨、ずっと雨、しかも強い雨。で、畑に出勤することも無く、沖縄ソバは結局、またも焼きそばとなってしまった。

 長ネギのツンとした辛みも好きだが、ワケギの香りを私は好んでいる。それは、熱い汁に入れるとさらに引き立つ。もちろん冷たい麺つゆでも香りはし、私は旨いと思う。

 ワケギ(分葱):葉野菜
 ユリ科の多年草 中央アジア原産 方言名:ジイビラ
 名前の由来は広辞苑に「株分け法によって短時日のうちに鱗茎から発芽するので」とあった。地下の球根を「分」けて増やす「葱」ということであろう。
 広辞苑に「根深葱と・・・葉葱に分ける・・・云々」とあり、『沖縄園芸百科』に「本土でネギというと、関東地方の根深ネギ、関西地方の葉ネギのことをいいますが、沖縄では・・・ワケギがネギの代表」とあった。そういえば、最近はより太く、背も高い二十日ネギとか青ネギとかいうネギをよく見るが、中学高校の頃、学校前の食堂で食べた沖縄ソバの上に乗っていたネギは細いネギだった。ワケギだったのであろう。
 ワケギはネギの一変種で、二十日ネギより細く、小型。二十日ネギとは少し違う独特の香りがする。夏期は休眠し、沖縄での最適生育期間は秋から冬にかけて。
 ちなみに、同属の学名、
 ネギ Allium fistulosum L.
 ワケギ Allium fistulosum L.var. caespitosum Makino
 ニンニク Allium sativum L.
 ニラ Allium tuberosum Rottl.
 タマネギ Allium cepa L.
 ラッキョウ Allium chinensis G.Don

 収穫
 記:島乃ガジ丸 2013.5.23  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
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