アカザカズラ
 行きつけの散髪屋の親父に「ウンナンヒャクヤクが畑にあるが、要る?」と訊かれ、そのムカゴを貰ったのは2009年の3月、もう2年近くも前だ。ムカゴは鉢に植えて、ツルがいくらか伸びてから従姉の家に持って行った。その後どうなったかは不明。
 ウンナンヒャクヤク、雲南百薬と書くのであろう、いかにも体に良さそうな名前。見た目がまた、沖縄では薬草として昔から有名なツルムラサキに似ている。おそらく同じ仲間だと思い、そう訊くと、「だと思う」と親父も答えた。その時、葉も数枚貰って、天ぷらなどにして食べてみたが、ツルムラサキとほとんど同じ味だったのを覚えている。

 ところがウンナンヒャクヤク、参考にしているどの文献にも記載が無い。近くの石嶺図書館に行って調べたが、貸出不可の大きな図鑑にも無い。ということで、2年近くも前に知って、写真も撮ってあったのに、ガジ丸HPで紹介できずにいた。
 であったが先日、那覇市与儀にある中央図書館へ行く機会があった。そこは、石嶺図書館よりずっと大きく、蔵書もずっと多い。植物関係の本も多くあった。
 ウンナンヒャクヤクは、アカザカズラという名前で記載があった。それが和名の本名のようで、ウンナンヒャクヤクは流通名とのこと。確かに、アカザカズラよりは雲南百薬の方がいかにも薬効がありそうだし、一度聞いただけで忘れない。

 アカザカズラ(藜蔓):野菜・薬用
 ツルムラサキ科のツル性多年草 熱帯アメリカ原産 方言名:なし
 アカザカズラのアカザ(藜)は広辞苑にあり、「畑地に自生するアカザ科の一年草」とのこと。本種はツルムラサキ科なので種は遠いが、花の見た目とか食べた時の味とかが似ているのであろう。ツル性植物なので、カズラ(蔓)と付く。別名としてマデイラカズラとかツルアカザとかあるが、流通名はウンナンヒャクヤク(雲南百薬)とのこと。
 ツルムラサキ科というと、沖縄では古くから健康食とされてきたツルムラサキがある。ツルムラサキとアカザカズラ、肉厚な葉、ツル状の形態など見た目に似ているが、ツルムラサキはツルムラサキ属で、アカザカズラはアカザカズラ属とのこと。
 花は葉腋から長さ10〜15センチの総状花序を出し、白い小さな花を多数付ける。開花期は7月から10月。花は咲くが、日本では結実しないとのことで、地下にできる根塊や、葉腋にできるムカゴ(零余子)で繁殖するとのこと。
 茎,葉,根塊がお茶、野菜、薬用として利用される。どんな効用があるか、文献に書かれていなかったが、雲南百薬という名から、なかなかの薬効だと思われる。

 花

 むかご
 記:島乃ガジ丸 2011.1.11  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
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