タイモ
 甘いものがあまり好きでない私だが、沖縄の正月料理の一つターウムリンガクは好んで食べる。ターウム(田芋)には独特の風味があり、それが私好みとなっている。
 毎年、母親が作ったものを少し分けてもらっているのだが、今年は自分で作ってみようと思い、元旦にターウムを買い、リンガク作りをしようと計画していた。
 で、大晦日の母親からの電話「金武産のターウムをたくさん貰ったんだけど、要る?」は、まさに、今年はターウムリンガク作りをせよ、との天の啓示であったのだ。
 田芋は、タヒチ辺りでタローと呼ばれ、主食の食材とされているタロ芋と同じものらしい。里芋に近縁の一品種とも書かれている。里芋には無い独特の風味がある。
 ターウムリンガクについては別項(ゆでたいも)に書いたのでここでは省く。他にポテトフライのような“から揚げ”料理もあり、おせち料理の重箱の中に必ず入っている。
 ターウムはその茎も食される。里芋の茎はズイキ(芋茎と漢字で書く)と呼ばれ、食用となるのは倭の国でも同じ。沖縄ではターウムの茎をタームジと言い、汁物(ムジヌウシル)にしたり、有名な煮物料理であるドゥルワカシーとなったりする。

 タイモ(田芋):根菜
 サトイモ科の多年草。原産はインド、インドシナ。方言名:ターウム
 田んぼで栽培される芋ということから田芋という字が当てられている。水芋とも言う。塊茎、葉茎を食す。
 文献ではサトイモの栽培品種とある。見た目、似ているといえば似ているが、その違いはすぐに判るし、昔(文献によると15世紀)から沖縄で栽培されていたらしいし、子供の頃から私も食べているし、サトイモはチンヌク、タイモはターウムと沖縄名もあるので、同じ科、同じ属だけれども、種は違うものだとばかり思っていた。サトイモに比べると味も食感も大雑把な感じはするが、良い匂いがし、癖になる。
 ミクロネシア、ポリネシアなどで主食として用いられているタロイモは、同じくサトイモ科の仲間だが、大きい。草丈が3mまで伸び、食用とする塊茎もタイモの何倍もの大きさになる。タロ芋は、タヒチ語・マオリ語のタロー(taro)からきている。
 金武産の田芋は、金武町の田芋のことで、いわばブランド品。他に宜野湾市大山が産地として有名で、大山産も喜ばれる。価格の安いものは外国産。

 タイモ田んぼ
 記:2005.1.3 ガジ丸  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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