タバコ
 これがガジ丸で紹介する記念すべき200題目の草木。何にするか悩んだが、最近嫌われ者になって、ちょっと可哀想だと私が同情している植物にした。
 私はタバコを吸うということで、姪からも姉からも毛嫌いされているのではあるが、タバコを止めようなんて思ったことはほとんど無い。元々ヘビースモーカーでは無い。一日10本も吸わないので2、3日、あるいは1、2週間タバコを吸えない状況になっても別に禁断症状が起こることも無いのだが、タバコを止める気にはならない。タバコは食後に吸ったり、酒と共に吸ったりすると美味しいと思う。美味しいのを止める気はしない。
 姉の言い分は、本人の健康に悪い、周りにいる人の健康にも悪い、大気汚染になって地球の健康にも悪い、ということ。しかし姉ちゃん、この3つの”悪い”条件が当てはまるものが身近にもう一つある。排気ガス。アンタが乗っているその車。
 地球の健康や人類の健康を心配するなら、アンタ、車に乗るのを止めなさい。移動が必要ならバスや電車にしなさい。車を使う必要があるなら電気自動車にしなさい。
 「タバコは止めれば済むじゃない!必要なモンじゃないじゃない!止めればお金もかからないじゃない!電気自動車って高いのよ!」なんておっしゃるかもしれないが、好きなものは、止めれば済むなんて話にはならない。必要かどうかって、車だって、バスがあるし、歩けばいいし、そう必要はない。まして、どれもお金の問題で済む話では無い。

 機内でタバコが吸えなくなったのはいつ頃からだったのか。駅でタバコが吸えなくなったのはいつからだったか。私が高校生の頃は映画館でもタバコ吸い放題だった。年々、タバコの吸える空間が狭まってくる。喫煙ってのは文化の一つと私は思っているが、将来、消える運命にあるのだろうか。でも、私は止めない。人類最後の喫煙者と世界中の人から後ろ指さされようと、「旨いんですよ」と言ってやりたい。

 タバコ(莨):作物・嗜好品
 ナス科の一年生草本 南アメリカ原産 方言名:タバク
 タバコは、元々は南米原住民の言葉らしいが、それがtabacoというポルトガル語なり、日本語でもタバコという発音となっている。莨という漢字は広辞苑にあった。漢字では別に煙草とも書く。これはタバコを加工して喫煙用にしたものを指す。タバコ属の植物は多数あるらしいが、煙草用に栽培されているのは数種とのこと。
 新大陸発見から短い期間で南北アメリカ大陸はヨーロッパ列強に植民地化される。ヨーロッパ人たちは土地を奪い、命を奪い、自由を奪いつつ新大陸からさまざまなものをヨーロッパへ伝える。タバコも南アメリカからスペイン人によってヨーロッパへ運ばれた。タバコの有毒成分であるニコチンはまた薬効成分でもあり、初めは薬用として栽培されたらしい。後に喫煙用となる。日本へも16世紀に伝わっている。
 葉を乾燥し発酵させる。それを巻いて葉巻、刻んで刻み煙草、刻んだものを紙で巻いたものが今、どこにでもあり、嫌われものにもなっている普通の紙巻煙草。他に嗅煙草(かぎたばこ:鼻から吸引する)、噛煙草(かみたばこ:ガムのように噛む)などがある。
 沖縄でも古くから栽培されている作物。写真をみると葉野菜みたいに見えるが、食用にはならないとのこと。沖縄の重要な換金作物であったようだが、最近は喫煙人口も減りつつあり、栽培面積もしだいに減っていくものと思われる。

 花
 記:島乃ガジ丸 2005.8.23  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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