スイゼンジナ
 先週土曜日(17日)飲みに行った。知人のGさんに誘われて、私の住まいからは徒歩10分もかからない場所にある薬草を酒の肴に出してくれる不思議な店。そこで、その夜、私は初めてハンダマ(ウチナーグチでスイゼンジナのこと)を食べた。正確に言うと初めてでは無いかもしれない。子供の頃から数えると、今まで何度か口にしてはいるかもしれない。でも、これがハンダマであると、ちゃんと自覚して食ったのは初めて。

 学生の頃、熊本へ遊びに行った。そこに従姉一家が暮らしていて、彼らを頼っての旅。ちょうど桜の季節で、熊本城へ夜桜の花見へと出かけた。酒は日本酒、肴は熊本名物の馬刺し。馬刺しは東京で何度か口にしていたが、特に旨いものとは思わずにいた。しかし、従姉が選んだものは上質のものだったようで、とても旨かった。
 翌日、水前寺公園へ見学に行く。水前寺は馴染みがある。「んーにゃっ」の水前寺清子を連想するからだ。見学しながら、「一日一歩、三日で三歩、三歩進んで二歩下がる」なんて歌が頭を駆け巡る。「何で、わざわざ二歩下がるんだ」と不思議に思っていた歌。「そんなことしていたら、一年経っても365歩にならないじゃないか」と疑問を持っていた歌。でも、男っぽい、サッパリした感じのチーターは大好きだった。

 ハンダマという名前は「半玉」とか漢字で書いて、和語であろうと思っていたのだが、それはウチナーグチ(沖縄口)であり、和語で言うとスイゼンジナであることは今回調べて初めて判った。スイゼンジナのスイゼンジが水前寺に由来することも今回知った。
 ハンダマチャンプルーは美味しかった。今度食べるときはきっと、水前寺清子を思い出すことであろう。健康野菜ハンダマを食って体が元気になり、チーターを思い出して心も元気になる。365歩は、毎日歩けということだな。三歩進んで二歩下がったとしても1年後には、少なくとも121歩は進んでいるということだな。それで十分なわけだ。

 スイゼンジナ(水前寺菜)野菜・薬草
 キク科の多年生草本 東アジア原産 方言名:ハンダマ
 世界の熱帯地域で広く栽培されている。1765年頃、日本へ渡来し、初め熊本県の水前寺で栽培されたことからスイゼンジナの名前がある。
 多く枝分かれし、葉をつけ、高さは40〜60センチになる。長楕円形で、柔らかく厚めの葉は表面が濃緑色、裏面は紫色となる。その紫色の色素が何かと評判の良いポリフェノールの一種アントシアニン。その他ビタミン類も豊富な健康野菜。
 丈夫な野菜で年中収穫できる。味噌汁の具、チャンプルー、和え物などに良い。

 収穫

 ハンダマサラダ
 記:島乃ガジ丸 2005.9.20  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
inserted by FC2 system