ソバ
 従姉の別荘は、その敷地面積の約4分の1が建物で、約3分の1が畑で、約2分の1が駐車場及び庭及び通路となっている。4分の1プラス3分の1プラス2分の1は1を余ってしまう。何故か?・・・建物の屋根上の一部が畑になているからだ。
 畑とは言っても名ばかりで、今はもう概ね雑草を養っている状態だ。ただ、私の父が元気で、別荘の庭と畑を管理している頃は、一応、畑という名に値するものではあった。私の父が管理していたのは10年ほども前のことになる。
 その頃だったか、その後だったか記憶が定かではないが、屋上の畑に今まで見たことの無い野菜が植えられていて、白い花が咲いていた。
 「屋上の、今、白い花が咲いているの、あれ何?」と従姉に訊いた。
 「そばよ」と答える。
 「そばって、あのザルソバのソバか?」
 「そう、そのソバ。」とのこと。
 沖縄でもソバができるとは知らなかったが、ソバ好きの私は、「おっ、挽きたてのソバが食えるかも」と大いに期待した。のだが、その後、従姉からはソバを収穫し、食ったという話は無かった。沖縄ではやはり栽培が難しいのかもしれないと思った。

 沖縄の農作物を紹介している『沖縄園芸百科』にもソバの項は無い。で、ソバは沖縄では生産できないと私は結論付けていたのだが、今年7月、ヤンバル(山原:沖縄島中北部の通称)を散策している際、大宜味村役場の一角にソバを発見した。「ソバ」と名札があったのでそうだと判ったのだが、名札には「試験栽培」とも書かれてあった。
 歴史あるソバを21世紀の今になって試験とはどーいうこと?と思ったが、沖縄の気候に適する新品種なのかもしれない。沖縄でソバができるなら、ソバ好きの私は嬉しい。

 ソバ(蕎麦):穀物
 タデ科の一年草 中央アジア原産 方言名:なし
 ソバの名の由来は資料が無く不明。古くは蕎麦を「そばむぎ」と読んでいたらしく、広辞苑のそばの項には「(古名「そばむぎ」の略)」とあった。
 高さ40〜70センチ、花色は白、または桃色で芳香がある。多くの品種があり、開花期もそれぞれだが、主に夏から秋。私の写真は7月。
 大きく分けて夏ソバ、秋ソバとがあり、その季節に収穫される。荒れ地で育ち、収穫までの期間も短い。果実は黒褐色、種子を粉にしてそば粉を作る。そば粉から、あの美味しい蕎麦ができる。果実はまた、あの美味しいそば焼酎の原料にもなる。

 花
 記:島乃ガジ丸 2010.10.28  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
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