シマナー
 鹿児島と沖縄とでは食文化で重なる部分が割と多い。学生の頃、鹿児島の友人がゴーヤーチャンプルーを作ってくれて驚いた。豆腐と豚肉とゴーヤー(鹿児島ではニガゴリと云うらしい)などという材料も一緒で、調理の仕方も同じ。鹿児島と沖縄とでは付き合いが古いので、同じ料理があるのは別に不思議では無いのだが、ゴーヤーなんて苦いものを食うのは、夏野菜の少ない、他に食うものの無い貧乏なウチナーンチュだけだと思っていたので驚いたのだ。
 もう一つ、彼(あるいは彼の彼女だったか)が作ってくれたものに高菜炒めがあった。塩漬けした高菜を油で炒め、砂糖と醤油で甘辛く味付けしたもの。これはまた、沖縄のチキナーチャンプルーにそっくり。チキナーとは漬け菜の沖縄読み。沖縄でシマナーと呼ぶ葉野菜を塩漬けしたもの。それを豆腐と豚肉などと一緒に油で炒めたものがチキナーチャンプルー。チキナーそのものが(水に浸し、塩抜きしても)しょっぱいので、砂糖を加えて甘辛い味にする。
 アパートの畑にシマナーができている。植えたわけでは無い。アパートの前の住人が今年の春に植えたシマナーの数株が、収穫されないまま大きくなり、花を付け、種が成り、その種が飛んで今、畑のあちこちから芽を出しているのだ。もう少し大きくなったら、ありがたく頂く。
 チキナーにせず、生のものを味噌汁にしたり、鍋物の具としたり、炒めたりして食す。私がよくやる料理は、茎の部分と葉の部分に分け、葉の部分は味噌汁の具にし、茎の部分は、ニンニク炒めにする。ごま油を使う。豚三枚肉も少し入れる。バクバク食える美味しい野菜料理だ。

 タカナ(高菜):野菜
 アブラナ科の一年生草本。原産は中央アジア。方言名:シマナー
 野菜としての分布は中国から朝鮮、日本へと分化していったとある。そういえば、西洋料理にカラシナとかタカナとかを使ったものをあまり見ない。
 シマナーのことをずっとカラシナだと思っていたが、文献にはタカナとあった。アブラナ科という大きなくくりの中にツケナ(漬け菜)類というのがあり、それがまたツケナ類とタカナ類とに分かれ、タカナ類の中にタカナやカラシナが含まれているとのこと。さすが学問、さすが細かい。食べる方としては、シマナーがタカナでもカラシナでも構わないのだが。

 花

 実
 記:島乃ガジ丸 2004.11.19  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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