セッコツソウ
 風は涼しく日差し穏やかな4月のある日、県営運動公園へ散策に出かけた。その時出会った海人(ウミンチュ=漁師)らしき男性に、先週紹介した沖縄の貝「リュウキュウサルボウ」の存在を教えてもらい「美味しいよ」と教えてもらい、その生息場所、採取方法を教えてもらい、その他、潮干狩りとは関係の無いことがらまで話が膨らみ、
 「あんたは何?ウォーキングですか?」
 「はい、のんびり散歩。腰悪くして、そのリハビリも兼ねて。」
 「腰痛ですか、私は長い間、膝を悪くしていたけど、薬草で治ったよ。」
 「ほう、薬草で。薬草には少々興味を持っているので教えてもらえませんか?」ということになって、セッコツソウという薬草を教えてもらい、「この公園内にあるよ、すぐそこ、駐車場の近くだよ」と、セッコツソウの自生する場所を教えてもらった。
 彼は野原に生えているセッコツソウを収穫し、それを私にくれた。
 「サプリメントなんかいくら飲んでも駄目だったんだけどね、これで膝が治った。あんたも試してみるといいよ。」人懐こそうな顔がニカっと笑った。
 家に帰って、取り敢えずセッコツソウの茎を葉を付けたまま干す。その後、図書館行って、セッコツソウなるものを調べる。調べた結果は以下。資料は1冊しかなかった。
 さて、干したものを数日後、刻んで、急須に入れて、お湯を注いでお茶にして飲み始めたのは4月30日、飲んでみた感想は、市販の薬草茶と同じく、いかにも薬草といった匂いは少々あるが、特に強い臭みは無く、苦みはほとんど無く飲みやすい。
 5月10日までに湯飲みで10杯ほど飲んだ。まだ、効果は現れていない。 
 セッコツソウ(接骨草):薬草
 キツネノマゴ科の常緑低木 中国、台湾、沖縄、東南アジアに分布 方言名:不詳
 名前の由来は資料が無く正確には不明。接骨草という漢字表記は『琉球薬草誌』に記載があり、その字から想像すると、カルシウムを豊富に含み骨や関節に効果的な成分が含まれているから「骨を接ぐ草」という意であろうと思われる。
 見た目が草状で、名前にも草とつくが、草本類ではなく木本類に分類されている。
 高さは120センチほどまでになる。葉は針形で対生、長さ4〜15センチ。開花期は夏、花は頂生や腋生で、花冠は唇形で色は白、または淡い紅色で紫班がある。
 本種を紹介している文献が『琉球薬草誌』しかなく、植物としてというより薬草として知られているらしい。カルシウム、食物繊維が豊富に含み、薬効としては関節炎、打撲、生理痛、神経痛、風邪、黄疸、痛風など、リラックス効果もある。秋に茎葉を採取し、日干し乾燥させ、関節炎、神経痛などには20〜40グラムを煎じて服用。骨折などの塗布剤としては、生の茎葉を砕いて酒、酢を加えて患部に塗布する。
 ちなみに学名は、Gendarussa Vulgaris neesとある。 
 葉の近写
 記:島乃ガジ丸 2019.5.13  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
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 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
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 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『琉球薬草誌』下地清吉著、琉球書房発行
 『沖縄やんばるフィールド図鑑』 湊和雄著 実業之日本社発行
 『グリーン・ライブラリー』タイムライフブックス発行
 『ネイチャーガイド 琉球の樹木』大川智史・林将之著、株式会社文一総合出版発行
 『つる植物』沖縄都市環境研究会著 (有)沖縄出版発行
 『熱帯アジアの花』ウィリアム・ウォーレン著、チャールズ・イー・タトル出版発行
 『講談社園芸大百科事典』野間省一編集、講談社発行
 『沖縄の薬草百科』多和田真淳・大田文子著、那覇出版社発行
 『沖縄食材図鑑』田崎聡著、有限会社楽園計画発行
 『自分で採れる薬になる植物図鑑』増田和夫監修、柏書房株式会社発行
 『家庭で使える薬用植物大図鑑』田中孝治著、社団法人家の光協会発行
 
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