サトイモ
 沖縄民謡の大ヒット作『ちんぬくジューシー』は、前に何かの項で既に紹介したかもしれないが、こう始まる。
 アンマー タム ノー キブトンドー (母ちゃん 薪 が 煙っているよ)
 キブシ ヌ キブサヌ ナダソーソー (煙 が 煙くて 涙ポロポロ)
 涙ソーソーが、夏川りみの歌では「涙そうそう」になっていて、面倒臭がり屋のウチナーンチュは口をオウなどと動かしたりはしない。オーオーで済ませてしまう。だから、夏川りみの「涙そうそう」はウチナーグチ(沖縄口)としては誤った表記である。・・・なんていうようなことを書いたと思うが、何の項で書いたかを覚えていない。
 『ちんぬくジューシー』の意味をその項で紹介したかどうかもよく覚えていないが、ジューシーは雑炊のことで、ちんぬくはサトイモを表すウチナーグチ。

 サトイモをたんに沖縄読みするとサトゥンムとなるが、チンヌクというまったく独立した名前があるように、サトイモは日本の食文化とは別文化として、沖縄でも昔から食されてきたものである。ところが私は、大学生になるまでサトイモの記憶が無い。東京に出てから大学の5年間(留年したので)の間で、サトイモの旨さを知った。
 沖縄の食堂や居酒屋でサトイモ料理を置いてある店は少ない。スーパーの惣菜にもサトイモ料理はほとんど無い。ウチナーンチュはあまりサトイモが好きでは無いのかもしれない。東京ではサトイモ料理を頻繁に見る。定食屋や居酒屋で、また、スーパーの惣菜、弁当などでも多く見る。日本酒の好きな私は、さっぱりとした味のサトイモが好きである。泡盛の好きなウチナーンチュは、少し癖のあるタイモの方が好きなのかもしれない。
 『ちんぬくジューシー』は、サトイモの入った雑炊を作っている情景を唄っている。米がめったに庶民の口に入らない頃には、イモで嵩を増すことで米の量を減らしていたのだろう。今ではサトイモの方が高い・・・なんてことを確かにどこかで書いている。脳軟化症が進行しつつあるオジサンは、それが何の項だったか、ついに思い出せない。

 サトイモ(里芋):野菜
 サトイモ科の一年草。原産分布は東南アジア。方言名:チンヌク
 『沖縄園芸植物大図鑑』を参考にして、葉柄が緑色のものをサトイモ、紫色のものをアメリカサトイモとした。『沖縄園芸百科』には「「葉柄が緑色と紫色のもの」が沖縄での栽培の大半を占めているとあった。従姉の畑のものもたぶんその2種。
 生育気温は25から30度。高温多日照を好む。植えてから収穫するまでに250日要するとある。10月から5月の間に植え付け、5月から12月の間に順次収穫する。
 サトイモはその茎も食用となる。ズイキ(芋茎)という。
 ヤマイモもそうだが、生のサトイモもまた、皮を剥いたりしたときに手が痒くなる。私の手はヤマイモよりサトイモの方に敏感なようで、ヤマイモよりも痒さがきつい。で、生のサトイモを買って料理することは少ない。過去に2、3回しかない。そのかわり、皮を剥かれ下茹でされたサトイモの真空パック入りのものは、年に数回ほど買って、自分好みに味付けして食っている。味付けされたパック入りのものもたまに買って食っている。

 花

 アメリカサトイモ
 記:島乃ガジ丸 2005.5.1  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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