パセリ
 「つま」というと妻のことであるが、じつは、夫のことも昔は「つま」と言っていた。私は不真面目な日本文学科出身であるが、そのことは何故だか記憶にある。もっとも、不真面目な日本文学科出身は、昔というのがいつごろの昔かまでは覚えていない。
 広辞苑によると、「つま」は「配偶者の一方である異性」とある。つまり、男でも女でもいいわけである。昔(上述のようにいつ頃かは不明)の方が今よりも男女同権の意識が強かったのかもしれない。

 「つま」はまた、同じく妻と書いて、刺身のつまの「つま」の意味もある。刺身のつまの「つま」とは、刺身の盛られた皿に、主役の刺身に添えられた野菜や海草などのことを言う。ダイコンやキュウリ、ワカメなどのこと。
 「つま」は添え物であるが、栄養のバランスを考えれば大切な役を負っている。妻にとっては夫が、夫にとっては妻が大切な役であるのと同じものだと考えられる。そんな大切な「つま」なので、居酒屋で刺身盛り合わせを食べる機会があった時は、それに添えられている「つま」を私は好んで食っている。

 西洋料理の皿にも「つま」がある。その代表格がパセリ。サラダやトンカツ、コロッケ定食などを注文すると、たいてい皿の片隅に1つ2つ添えられてある。そのパセリを残す人を多く見かけるが、私は残さず食べている。大切な「つま」なのである。
 そんな大切な「つま」を、私は美味しいと思うので、自分の畑にたびたびパセリを植えている。スープにもサラダにも重宝している。今年もパセリを植えた。

 パセリ(parsley):葉菜
 セリ科の二年草 地中海沿岸の原産 方言名:なし
 パセリは何語か不明だが、パセリにはにはオランダゼリという和名があることを、今回調べて知った。江戸時代にオランダから入ってきたことによる。
 二年草だが、一年生として栽培することもある。日本には17世紀に入ってきたようだが、和風の料理にどう合わせたのだろう。香りは爽やかだが、味に癖があり、お吸い物や味噌汁には合いそうも無い。天麩羅などには良いかもしれない。
 料理の材料として普段見るパセリは、コロッケ、ステーキ、トンカツなど洋風料理のツマである。肉料理にはその癖のある味も、特に気にならない。コンソメやクリームとも相性が良い。味噌汁には刻みネギだが、洋風のスープには刻みパセリが合う。
 文献に「初夏に、長い花茎を出して、緑色の小花を多くつける」とあったが、私はパセリを冬野菜としているので、その花にお目にかかる機会を得ていない。
 記:島乃ガジ丸 2007.12.22  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
inserted by FC2 system