ノビル
 「開花」とは、「草木の花が開くこと」(広辞苑)が第一義だが、そこから「物事の成果がみのること。盛んになること」(〃)という意味も持つ。「長年の努力が開花した」とか使う。「開花した」の代わりに「花開いた」としても似たような意味となる。
 「花開く」はただ、私の感覚で言えば、開花と同じく「努力の花が開いた」とも使えるが、努力が無い場合でもいいような気がする。例えば、特に努力をしなくても幸運が舞い込んだ場合に「運の花が開いた」などと使えるのではないかと思う。

 今年(2012年)4月、若い女性と二人で粟国島を旅した。彼女は親友の娘で、小さい頃から知っており、高校生になって以降は何度かデートもしている。もちろん、プラトニックだ、気が合って、趣味が合ったので親しくしていただけ。
 彼女には夢があった。しかし、力及ばず挫折した。次の夢を持ったが、これも未だ光明が見えない状況にある。オジサン(彼女は私の事をそう呼ぶ)は彼女の努力が報われて、開花することを願っているのだが、「運の花が開く」ことも強く願っている。「運の花が開く」、例えば、イイ男と巡り合って結婚することなど。頑張れ!

 ノビル、沖縄にも古くからあるようで、参考にしている文献のほとんどに記載があり、海岸近くから山手まで広く生息すると紹介されているが、私はまだ出会っていなかった。いや、何度も出会っているかもしれないが、それはおそらく花の時期では無く、気付かなかったのかもしれない。私の観察眼が鈍いせいもあるが、花が咲いていないと全く目立たないのだ。彼女と2人粟国島を散策している時に、開花しているノビルに会った。

 ノビル(野蒜):野草・食用
 ユリ科の多年草 原産は中国、日本 方言名:ニービラー
 名前の由来、『沖縄植物野外観察図鑑』に「野生の蒜の意」とあった。ヒルとは、沖縄ではフィルとも発音され、ニンニクのことを指すが、和語では「食用となるユリ科の多年草の古名」とのこと。和語でニンニクは大蒜と書く。
 方言名のニービラー、ネギやワケギのことをビラと言い、ニーはおそらく根のことで、根の部分が概ね食用となるからだと思われる。ちなみに、ニラのことはチリビラと言う
 海岸近くから山手まで広く生息し、畑地や野原、路傍で見られる。細い茎は30〜50センチの高さまで伸びる。地下の鱗茎を主に食用とするが、葉も食べられる。草全体にニラのような香りがする。薬用としても使われる。
 伸びた細い茎の先端に、いわゆる葱坊主をつけ、白い小さな花をいくつも咲かす。開花期について資料は無いが、文献の写真も私のも4月、ということで春としておく。

 花
 記:島乃ガジ丸 2012.7.6  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
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