キクイモ
 家から図書館へ向かう道のちょうど中間辺り、道の傍に庭のある一軒の民家、その庭の一角が畑になっていて、ゴーヤーなどが植えられている。2005年だからもう5年も前のこと、ゴーヤー棚よりも道寄りに大きな黄色いキクに似た花が群れて咲いていた。
 写真を撮って調べたのだが、手元にあるどの参考文献にもそれらしき植物は載っていなかった。で、不明のままそのうちにその存在も忘れてしまった。
 忘れてしまったけど、翌年すぐに思い出す。同じ場所に同じ花が咲いていたからだ。同じ花は2007年と2008年にも別の場所で見つけ、写真を撮っている。そして、2009年ついに、文献で無く、人から聞いて、その植物の名前を知った。

 行きつけの散髪屋の親父は、女房ともどもアウトドアが好きで、よくキャンプをし、よく釣りにも行く。そして、夫婦ともども薬草が好きである。去年のある日、
 「キクイモを植えてあるけど、今、花が咲いている。見て行くか?」と私の髪の毛を刈りながら親父が訊く。
 「キクイモ?って何ですか?」
 「薬効があるらしいよ、根に芋が出来て、それを食うらしい。」
 なんて会話をして、散髪が終わった後、散髪屋の裏にある畑を見に行く。そこには黄色いキクに似た花が群れて咲いていた。「あー、あんたか、キクイモって言うんだ。」 

 キクイモ(菊芋):根菜
 キク科の多年草 北米原産 方言名:なし
 名前の由来は資料が無く不明だが、キク科の植物で、いかにもキク科らしい葉と花をしていて、地下茎の先にイモ(塊茎)を作るからキクイモだと思われる。
 高さ3mほどになる大型の草本。花は黄色で、ヒマワリに似るが、ヒマワリよりは小さい。開花期について、『沖縄園芸植物図鑑』に「夏から秋」とあったが、私の経験ではもっと早くから咲いていた。よって、ここでは春から秋としておく。
 地下茎の先にイモ(塊茎)を作る。私はまだ食べた経験が無いが、イモは食用となり、イヌリンという物質を多く含み甘みがあるとのこと。煮物、漬物に利用され、アルコールの原料にもなるとのこと。春に植えて秋に収穫する。
 葉を乾燥させて煎じて飲むと、これも健康に良いお茶になるらしい。これは知人のAさんに聞いた。「もう歳だからね、健康茶を飲むようにしないとね。」とのこと。

 花
 記:島乃ガジ丸 2010.10.2  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
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