カミツレ |
午後のティータイムにハーブティーなるものを楽しむご婦人方もいらっしゃるらしい。テレビからの情報なので「らしい」となる。私は、実際にそういう場面に出会ったことはかつて一度も無い。しかし、じつは、そういう場面にいつか招待されるであろうという期待はもう十何年も前から持っていた。期待はずっと裏切られ続けている。 従姉が自宅の庭にいろんな種類のハーブを植えていた。十何年も前のことだ。「こういうの何に使うの?」と訊いたことがある。「料理やハーブティーに使う」との答え。その頃から従姉の家には週に1回は訪ねていたので、いつかそのハーブティーを御馳走になるであろうと期待していたのだ。以来十数年、そういう機会は一度も無い。 ハーブティーのティータイムはあったけど、それに私が呼ばれなかった、のでは無いと思う。先日、従姉の家を訪ね、庭を覗いたら、バジルもミントもローズマリーもルッコラも全て消えていた。ハーブが消えて、雑草の庭となっていた。 表題のカミツレは和名。カモミールという名前でよく聞く。カモミールもお茶にする。鎮静の効果があるハーブとのこと。カモミールはしかし、従姉の庭には無く、別の民家の庭で見つけた。ボーっとして庭を雑草天国にしてしまう従姉だ。ボーっとしている精神に鎮静効果のあるカモミールは必要ないと、本人も自覚していたのだろう。 カミツレ(加密列):ハーブ・切花 キク科の一年草 ヨーロッパ、西アジア原産 方言名:なし 別名にカモミール、カモマイル、カミルレなどがあり、カモミールとカモマイルは英語名のchamomileから、カミルレも広辞苑にあり、これはオランダ語のkamilleから。カミルレには加密爾列という漢字も充てられている。カミツレはオランダ語kamilleが訛ったものとのこと。これにも加密列という漢字が充てられている。過密列って、どこの行列だ? 高さは50センチ程度、全体に芳香があり、花をハーブとして利用する。3月から8月に花を収穫し、日陰で乾燥させ、お茶として利用する。胃腸薬、発汗剤の他、精神を安定させる作用があるとのこと。美肌効果もあり、入浴剤にも使われるとのこと。 一年草と書いたが、『花の園芸大百科』に「ローマ種は宿根草で、ジャーマン種は一年草」とあった。よく見かけるのはジャーマン種のようである。 いかにもキク科らしい形の花、色は中央部が黄色で周囲は白。開花期は3〜8月。 花 |
記:島乃ガジ丸 2011.1.23 ガジ丸ホーム 沖縄の草木 |
参考文献 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行 |